■求積の多様性を考える(その7)

 ベクトル平衡とは何か? 正直,説明を読んでもよくわからなかったのであるが,わかったことを掲げてみる.

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[1]すべての面が正三角形で構成されている凸多面体をデルタ多面体という.一方,SO(3)の運動群T,O,I

  T=A3,O=S4,I=A5

をそれぞれ正四面体群,正八面体群,正二十面体群と呼ぶ.正八面体群を立方体群,正二十面体群を正十二面体群と呼んでも良いのかもしれないが,面が三角形であるほうで呼ぶのが慣例である(不公平?).

[2]球体充填を考えると,正四面体構造,正八面体構造,立方八面体構造ができる.立方八面体構造から中心の球体を取り除くと,正十二面体構造が構成される.こうして,

  正四面体→正八面体→正二十面体

という階層が自然に得られる.

[3]フラーは立方八面体→正二十面体→正八面体→正三角形→正四面体と連続変形する模型を作った.この模型はフラーのジターバック(ジルバ?)模型と呼ばれている.

[4]フラーは立方八面体状配置をベクトル平衡体と呼んだ.実際,フラーは立方八面体の層状の空間充填に対して,神秘的なエネルギー伝搬を感じていたようである.

[5]この配置の互いに接する球の中心を結ぶと正四面体と正八面体による空間充填図形が現れる.rしたがって,ベクトル平衡模型は,基本的にはフラーのオクテットトラスであって,このトラスのなかにすべての平行多面体がみられるという.

[6]ベクトル平衡体原理(VEP)は,最密でない構造に対して適応され,たとえば結晶構造はできるだけ多くの同じ原子が互いに等距離の位置に来る様な配列を取ろうとするが,もし2種類以上の原子があるなら,各原子はできるだけ多くの同じ原子の間で互いに等距離になろうとする.

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