■まやかしの素数式(その2)

 (その1)を補足したい.

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 一見不可能のように思えるが,実はこの式から作り出されるすべての素数は定数Aのなかにそっと埋め込まれている.定数Aを決定するには素数に関する予備知識が必要になるが,予備知識なしでもわかるように「埋め込み」をたとえ話で説明すると,定数Aは素数が陽に埋め込まれた実数の定数

  B=0.20300050000000700000000000000110・・・

のようなものである.

 この数に10を掛けて整数の部分を取り出すと最初の素数2が取り出される.次に,100を掛けて整数の部分を取り出すと2番目の素数3が取り出される.一般に,n番目の素数が取り出された後,10^2^nを掛けて整数の部分を取り出すとn+1番目の素数が取り出される.いいかえれば,定数Bの中に埋め込まれていない素数を生成することはできないというわけである.

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【補】1971年,旧ソ連のマチアセビッチは,素数全体をあるひとつのディオファントス方程式の解として表すことにも成功しています.すなわち,すべての素数をつくる式を生み出したことになるのですが,その式は37次で24個の変数をもつ多項式と21次で21個の変数をもつ多項式でした.これらの多項式は負の値もとり,また,素数は多項式の値として繰り返し出現します.

 すべての素数をもれなくつくり,しかも素数以外はつくらない公式は知られていません.素数を完全に定義する式が存在することは証明されていませんし,存在しないともわかっていません.

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