■デルタ多面体(その2)

 正則とは限らない一般の多面体では

  Σpi=p1+・・・+pf=2e,

  Σqi=q1+・・・+qv=2e

となります.

 オイラーの多面体定理は,8個の凸なデルタ多面体が存在することの証明の基礎にもなります.デルタ多面体では,pi=3,3≦qi≦5ですから

  3f=2e   (fは偶数)

  3v≦2e≦5v

これをオイラーの多面体定理

  v−e+f=2

に代入すると

  6≦e≦30

 これより

  4≦f≦20,(3≦v≦20)

が得られます.3f=2eよりfは偶数ですから,4面体から20面体までの偶数多面体がデルタ多面体の候補となります.このように下限・上限が求められるとそれを実際に構成する際に非常に有用となります.

   f      e      v

   4      6      4

   6      9      5

   8     12      6

  10     15      7

  12     18      8

  14     21      9

  16     24     10

  18     27     11

  20     30     12

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【1】Δ18の非存在証明

 k枚の面が集まる頂点の個数をvkとすると,k=3,4,5であるから,

  3v3+4v4+5v5=2e=3f

 オイラーの定理より

  v3+v4+v5−3f/2+f=2

  v3+v4+v5=f/2+2

左辺は整数であるからfは偶数,また,

  5v3+5v4+5v5=5f/2+10

  3v3+3v4+3v5=3f/2+6

より,

  2v3+v4=10−f/2≧0→f≦20

  v4+2v5=3f/2−6≧0→f≧4

 f=18とすると

  3v3+4v4+5v5=54

  2v3+v4=1

  v4+2v5=23

→(v3,v4,v5)=(0,1,10)

 v4を考えると底面に四角形の穴が開く.底面の各頂点は次数5であるから,各辺を共有する面4枚と各頂点を共有する面4枚が存在し,底で再び四角形の穴が残る.頂点の次数が5であることより各辺に1枚ずつ面が付いて,各頂点は閉じなければならないが,次数4の頂点で閉じることになる.→v4=1であるから矛盾.

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