■単純リー環を使った面数数え上げ(その12)

 ルート系Rとは,単純リー環を特徴づける高度に対称性をもったベクトルの有限集合です.

[1]Rは原点から出るn次元ベクトルの有限集合で,点対称,すなわち,xa<Rなら,−a<Rであるが,±a以外にaの定数倍のベクトルがRに含まれることはない.

[2]Rの2つのベクトル間の角θは30°,45°,60°,90°またはその補角に限る.これはm=(2cosθ)^2が整数である値である.

[3]角θが90°以外のとき,2つのベクトルの長さの比は1:2cosθである.

[4]ベクトルa,bのなす角鋭角であり,bの方が短くなければ,ベクトル

  b−ka,K=0,1,・・・,m=(2cosθ)^2

もRに含まれる.

[5]R全体が互いに直交する2つ以上のベクトル系に分解することはない.

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 n次元空間において高度の対称性をもったベクトルの集合がルート系なのですが,n次元正単体とn次元立方体の対称群は,それぞれAn-1,Bn(Cn)で表されます.

 ルート系では,ベクトルの間の角度は30°,45°,60°,90°またはその補角に限られるので,2次元の可能なルート系は

  A2(正六角形:正三角形格子)

  B2=C2(正方形)

  G2(星形六角形:正6角形を2個合わせたもの)

しかありません.

 また,このようにルート系のベクトルの末端を結んでできるn次元図形が正多胞体になるのは比較的少数です.他には

  D4(正24胞体の3対性)

  Cn(双対立方体)

  F4(正24胞体を2個合わせたもの)

があげられます.

 正24胞体は,すべての次元を通じて,単体以外の唯一の自己双対な正則胞体です.この24胞体の対称性を,鏡映で生成される既約な有限群(ルート系)との関係でみても興味深いものがあります.たとえば,正24胞体に含まれる正16胞体は互いに60°をなしますから,D4の3対性をもっているというわけです.

 また,正24胞体は1つの例外型対称群F4をもつことが知られています.2個の正24胞体を中心を一致させて重ねて回転させます.これはちょうど平面上でダビデの星が2つの正六角形を30°ずらして重ねたものと似ているわけですが,この対称性がF4に相当します.正24胞体は単体以外の唯一の自己双対な正則胞体であるという事実がF4と関係しているのですが,この点もまた注目すべきものでしょう.

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