■フォン・ノイマンが間違えた問題(その2)

 問題を簡単にするため,AさんとBさんが同時に相手をめざして歩いたとする.最初のAさんとBさんの距離をa,Aさん,Bさん,犬の速度をv1=v2=v,v3とする.

 Aさんの犬が初めてBさんにぶつかるまで走った距離をx1とすると,x1−aはその間にBさんが歩いた距離である.

  x1:(a−x1)=v3:v2

  x1=v3a/(v3+v)

  t1=a/(v3+v)

このとき,AさんとBさんの間の距離は

  a1=x1−vt1=(v3−v)a/(v3+v)

 次に,犬がAさんにぶつかるまで走った距離をx2とすると,x1−x2は,その間にAさんが歩いた距離である.

  x2:(a1−x2)=v3:v

  x2=v3a1/(v3+v)

  t2=a1/(v3+v)

このとき,AさんとBさんの間の距離は

  a2=x2−vt2=(v3−v)a1/(v3+v)

 同様に

  x3=v3a2/(v3+v)

  t3=a2/(v3+v)

  a3=x3−v1t1=(v3−v)a2/(v3+v)

  x4=v3a3/(v3+v)

  t4=a3/(v3+v)

  a4=x4−vt2=(v3−v)a3/(v3+v)

  x=x1+x2+x3+・・・

=v3a/(v3+v){1+(v3−v/v3+v)+(v3−v/v3+v)^2+・・・}

=v3a/(v3+v)・1/(1−(v3−v/v3+v))

=v3a/(v3+v)・(v3−v)/2v

=v3a/2v

 これはもちろん,両者が出会うまでの時間=a/2であるから,その間に犬が走る距離は

  v3a/2v

ということで,フォン・ノイマンは簡単にたどり着ける問題をわざわざ難しくしてが解いたというオチがつく.

===================================

S:それでは次の問題はわかるだろうか? 1辺の長さ100mの正方形の4つの頂点の1匹ずつ犬がいる.それぞれ,同じ速さ1m/sで隣の犬を追いかけたとする.それぞれの犬はいつも前方にいる犬に向かって同じスピードで進む.4匹の犬を結ぶ図形は回転しながら次第に小さくなる正方形になり,元の正方形の中心で出会うことになる.犬達が正方形の中心で出会うのにどれくらいの時間がかかるか?

U:???

S:(犬の進む経路と正方形の1辺の長さは等しいから,100秒が正解.なお,このとき犬のたどる軌跡は等角らせんとなる.等角らせんの伸開線と縮閉線は,もとの等角らせんと合同な等角らせんになる.)

===================================