■格子正多角形・再考(その3)

  [c]=[cos2π/n,−sin2π/n][a]

  [d] [sin2π/n, cos2π/n][b]

において,cos2π/n,sin2π/nがともに有理数となるのは,n=1,2,4に限られるから,格子正n角形が存在するのはn=4のときだけであった.

[Q]格子等角n角形,格子等辺n角形の場合はどうだろうか?

 格子等角n角形が存在するのはn=4,8に限る.

 格子等辺n角形が存在するのはnが4以上の偶数のときである.

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 それでは,

[Q]3次元空間内の格子正n角形が存在するのは?

  n=3,4,6に限るというのが「シェレルの定理」であった.

 なお,ベクトルa=(a1,a2,a3)の大きさを|a|で表すと,

[1]格子正方形が存在するための必要十分条件は|a|が自然数になること

[2]格子三角形が存在するための必要十分条件は√3|a|が自然数になることである.

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[Q]3次元空間内の格子正多面体が存在するのは?

 これは正四面体,立方体,正八面体の3つである.

[Q]4次元空間内の格子正多面体が存在するのは?

 これは4次元立方体,正16胞体,正24胞体の3つである.

[Q]5次元以上のn次元空間内の格子正単体が存在するのは?

 nが偶数のとき,n+1が平方数であることが必要十分条件である.

 nが奇数のときは,n=3(mod4)であれば常に存在.n=1(mod4)であれば,n+1が2つの平方数の和であれば格子正単体が存在する.

 したがって,n次元空間内の格子正単体が存在するのは,

  n=1,3,7,8,9,11,15,17,19,23,24,25,27,31,33,・・・

となる.

 証明は驚くほど簡単である.

  枡田幹也,福川由貴子「格子から見える数学」日本評論社

を参照されたい.

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