■コインの問題の解  (中川 宏)

あるコインが他のコインを回るとき、なぜ、外回りの場合には周長比より1回転多くなり、内回りの場合には周長比より1回転少なくなるのだろうか?

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回られるほうのコインA(たとえばその周長はコインBの3倍)を一点で開いて直線にしてみた。するとコインBはAの端から端まで転がる間に3回転する。これが一番上の図であり、これが基準となる。

つぎにまんなかの図のように、Aの両端を持って半円状になるまで下向きの力を加えてたわめてみる。するとAに接しているコインBの向きは変わって、左端で反時計回りに90度、右端で時計回りに90度回転する。この結果、Aの左端から右端まで転がる間にBは3回転に半回転増えることになる。この操作を、Aの両端が閉じるまで続けると、コインBはコインAを外回りすることになり、回転数は3回転+1回転になる。

こんどは下の図のように、Aの両端を持って半円状になるまで上向きの力を加えてたわめてみる。するとAに接しているコインBの向きは変わって、左端で時計回りに90度、右端で反時計回りに90度回転する。この結果、Aの左端から右端まで転がる間にBは3回転から半回転減ることになる。この操作を、Aの両端が閉じるまで続けると、コインBはコインAを内回りすることになり、回転数は3回転−1回転となる。

ようするに、コインBが接しながら転がる相手Aが直線ではなく閉じた図形であることが、直感的に思い描く周長比A/Bにたいして、1回転分足したり、引いたりしなければならない理由なのであった。

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