■最小分子量の平行多面体(その2)

 ペンタドロンは立方体の基本単体をその最長辺の垂直2等分面で切断した立体である.ペンタドロンを使えば5種類ある平行多面体をすべて作ることができる.ペンタドロンをσで表すことにするが,立方体はσ12(σ96),6角柱はσ144,菱形12面体はσ192,長菱形12面体はσ384,切頂8面体はσ48という分子構造になっている.

 すなわち,ペンタドロンをうまく組み合わせると,立方体・菱形十二面体・切頂八面体などの空間充填形(平行多面体)ができるが,平行多面体がこのような1種類の素材だけで組み立てることができるのは驚きである.

 立方体はペンタドロン96個でもできるが,12個でも構成可能であるから,最小分子量は12である.

 ヤノシュ・パッハ(Janos Pach)先生の図

  http://wiki.epfl.ch/pomath2010/documents/poster_pentadron_hight_quality_a0.pdf

における斜六角柱はペンタドロン36個(σ36)からなっているが,秋山仁先生は自分でペンタドロン36個(σ36)からなっている「直六角柱」模型を作った.

 さらに,ペンタドロン288個(σ288)からなる「長菱形12面体」模型を作られたのであるが,広義の菱形12面体・長菱形12面体はさらに少ない個数で構成可能である.

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【1】菱形12面体σ192→σ72

 写真は陽馬(σ4)9個による斜六角柱を組み替えたものです.これをふたつ貼り合わせると,広い意味での菱形12面体ができます.菱形2枚,正方形2枚,平行四辺形8枚からなります.

 元素の個数についてはまず5つの平行多面体の定義をきっちりとしておくことが大切と思いますが,陽馬18個分ですからペンタドロンは72個です.たぶんこれが最少個数でできる菱形12面体ではないでしょうか.

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【2】長菱形12面体σ384→σ120

 さらに真ん中に立方体2個分を挟みこんだ写真です.これを2つ貼り合わせると広い意味での長菱形12面体ができます.

 ペンタドロン48個分足して,合計120個でできます.これが最少の長菱形12面体でしょう.

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【3】まとめ

 立方体:σ12

 6角柱:σ144→σ36

 菱形12面体:σ192→σ72

 長菱形12面体:σ384→σ120

 切頂8面体:σ48

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