■かみあわない話(その9)
 アメリカの数学者ポール・ハルモスによれば,n人が集まっていてそのうちの二人の誕生日が同じになる確率が50%を超えるためには,
  n>1.18×(365)^1/2=22.544
となることが必要であるという.
 ハルモスの概算公式は,cを定数として
  c=(−2log(0.5))^1/2〜1.18
  n>c×(365)^1/2
というものである.
 (その7)では,この概算方法がどのようにして見つけられたものなのか考察してみたが,
  [参]ハヴィル「反直観の数学パズル」白揚社
でも解説されていた.私の考察と比較してみたい.
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【Q1】客の中のふたりが同じ誕生日になる確率が50%を超えるには何人招けばよいか?
(A1)このクイズは数多くの本で取り扱われた有名なものである.d=365として,1番目の人と2番目の人が異なる誕生日である確率は1−1/dである.また,3番目の人が1番と2番の人と誕生日が異なる確率は,2番目の人は1番目の人と異なる日に生まれたとして,1−2/dである.
 したがって,n人全員が異なる誕生日である確率pnは,
  pn=(1−1/d)×(1−2/d)×・・・×(1−(n−1)/d)
となる.求めたい確率pは少なくとも2人同じ誕生日の人がいる確率であるから,
  p=1−pn>0.5
よりn=23.
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【2】ハルモスの概算公式
 これ以降の説明は(その7)とは異なっている.
  an=(1−(n−1)/d)
とおいて,相加相乗平均の不等式を用いる.
  (Πan)^1/n≦Σan/n=(1−(n−1)/2d)≒1−n/2d
  pn=(Πan)≦(1−n/2d)^n
 また,不等式1−x≦exp(−x)より
  pn=(Πan)≦(1−n/2d)^n≦exp(−n^2/2d)
 pn≒1/2を解けば
  n≒(2ln2)^1/2√d=1.18√d
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