■似ているような似ていないような(その5)

 フランスの数学者ポール・パンルヴェはパンルヴェ方程式と呼ばれる微分方程式に名を残す偉大な数学者であったのですが,それと同時に著名な政治家でもありました.数学から政治に転じ,そのために多くの時間を奪われるようになったことは惜しまれるところですが,衆議院議長の要職にあっても,週に2回はソルボンヌで流体力学の講義をしていたというから驚かされます.

 このような偉大な業績を残した数学者が,3度フランスの首相の就任したのですが,数学者の首相就任は他に例を見ない珍奇な歴史的事実です.

 大統領候補に立って落選しましたが,彼は初めは物理学者として後には航空相として航空界の発展にも偉大な貢献をしていて,ライト兄弟がパリの空を飛行したときの最初の乗客であったり,大西洋横断をはたしたリンドバーグと一緒に写った写真も残されているそうです.

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 映画俳優や虚構を操る小説家,お笑い芸人が大統領や知事になるのは20世紀以降では珍しくないマスコミ狂想曲と解釈できるが,数学者の首相就任は他に例を見ない珍奇な歴史的事実である.

 聴衆に自分の主張することを正しいと認めさせるために,権力や権威,人気やマスコミに頼ることが多く,場合によっては憐れみに訴える.たとえば,貧乏人を救うためには増税やむなしなどの主張は政治の常套手段であるかもしれないが,言い訳にしたとしても,まったく論理的な錯誤である.

 日本人は情緒的な人間集団であるといわれるが,多くの数学者や物理学者を生んできたことを考えると,理性的な面で他国の人達より劣るというわけでもないだろう.むしろ,これらのていたらく,日本人の根気のなさとか思いやりのなさに帰するのかもしれない.

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