■似ているような似ていないような(その4)

 私は特別な医学的知識を持っているわけではないが,血液中のコレステロール値が高いと心臓病になる,逆に心臓病にかかっている人々はコレステロール値が高いこと(相関があること)は証明された事実である.

 だから,医者は心臓病にかかりにくくするためにはダイエットすべきであるというが,心臓病患者に見られる高コレステロール血症は,病気の結果の症状であって,原因ではないかもしれない.

 そう考えると,低脂肪食のダイエットが,実際に心臓病にかかる確率を減らすという論理は,数学的には保証されないひとつの仮説に過ぎないことがわかるだろう.どちらが原因でどちらが結果なのか,あるいはその両方とも未知の原因の結果かもしれないのである.

 がんに関する「エビデンス」と呼ばれているものにもこの種の議論は多い.一見保証されたように見えるだけで結論は保証されてはいないのであるが,「科学的結論」であるかどうか,その真偽を見極めるのは医療関係者であっても難しい.

 したがって,私は自分のお医者さんにしたがうようにお勧めする次第である.エビデンスは,医者にとっても患者にとっても「精神安定剤」的に働いてくれると思うからである.

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