■この門くぐるべからず(その17)

 このシリーズでは,n次元立方体・正軸体・正単体を2次元平面上に複数の頂点がなるべく重ならないように座標軸をとって,実際に描く方法について考察した.

 n次元立方体・正軸体は正2n角形,正単体は正n+1角形に投影される.4次元立方体・正軸体・正単体の場合はそれぞれ正8角形,正8角形,正五角形になる.

 正軸体の頂点数は2n,正単体の頂点数はn+1であるから,すべての頂点は円周上に配置されるが,超立方体の頂点数は2^nであるから,2^n−2n個の頂点は円の内部に投影されることになる.

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[1]n次元正軸体

 n次元正軸体を2次元平面上に複数の頂点がなるべく重ならないように座標軸をとる.各頂点からは2(n−1)本の稜,すなわち,n=3では4本,n=6では10本の稜がでる.その際,中心を通るもの以外のすべての対角線を入れればよいから,nのパリティ−に関わらず,中止部に穴が開くことになる.

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[2]n次元正単体

 n次元正単体は(n+1)個の点からなる完全グラフとみなすことができるので,正n+1角形にすべての対角線を引くことと同じである.したがって,nが奇数のときは中心では必ず対角線が交わるので穴は開かない.nが偶数のとき穴は開くが,nが大きくなると,穴はどんどん小さくなるのである.

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[3]n次元立方体

 0次元の点がまっすぐ動くと1次元の線分になる.1次元の線分が平面の上で自分と直角の方向に同じ長さだけ動くと,2次元の正方形になる.2次元の正方形が3次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,3次元の立方体となる.この3次元立方体が4次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,同じ大きさの8個の立方体からなる4次元の立方体(正8胞体)になる・・・.

 こうしてn次元立方体ができあがるが,n次元立方体(正2n胞体)を2次元平面上へ正2n角形を外殻とするように直投影することができる.すなわち,正方形(2次元立方体)を平面に投影すると正方形,3次元立方体を投影すると正六角形,4次元立方体を投影すると正八角形になる.

 3次元立方体の8つの頂点を第4の方向に1単位だけ平行移動することにより,4次元立方体の3次元投影図を描くことができるからである.一般に,n次元立方体の投影図は正2n角形となることがおわかり頂けるであろう.

 次に,投影図形の中央に穴が開くかどうかに注目してみよう.正方形(2次元立方体)を平面に投影した場合は穴が開く.3次元立方体の平面投影図は三角形が6つ合わさった形になり,穴は開かない.4次元立方体の平面投影図には穴が開く.

 これについては,nが2のベキ(n=2,4,8,16,・・・)のとき,中止部に穴が開く.その理由が知りたいところである.次回の宿題としたい.

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