■内接球と外接球

 球に内接する多面体が存在すること自体が稀なのですが,与えられた球に対して球面上に勝手に点をうって接平面を作っていけば,内接球をもつ立体を作ることができます.一方,外接球にすべく,勝手に取った点をつないで線は引けても,面を構成するには相手を選んで線を引かねばならないし逐次的にいくのも大変です.

 正多面体(プラトン立体)では双方とも存在するということは双対のものでは立場が入れ替わるのだから・・・と考えると,互いに双対な両者に共通なものとして,第3の型として稜接球というものも考えられます.一般に,準正多面体(アルキメデス立体)は球に外接しませんが内接はします.カタラン立体(アルキメデス立体の双対)は球に外接します.

  [参]フックス,タバチニコフ「ヒルベルトの忘れられた問題」岩波書店

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【1】内接できない多面体

 シュタイニッツに定理(1928年)によれば,凸多面体Pの頂点が黒と白に色分けされていて,黒の頂点の方が多く,黒い頂点同士は隣り合うことができないとき,どんな変形をしてもPを球に内接するように調節することはできない.

 たとえば,頂点を白く塗った正八面体の各面に三角錐を貼り付ける.三角錐の頂点を黒く塗ると,黒い頂点は8つ,白い頂点は6つで黒い頂点同士は隣り合っていない.このとき三角錐の高さを調節しても凸性を保ったまま球に内接させることはできない.(正八面体の替わりに正20面体から始めても同様である.)

 三角錐の高さを調節して正八面体の外接球に頂点が来るようにすると凸にならないのである.

[補]正多面体のすべての面に正三角錘,正四角錘,正五角錘を載せた多面体(ダ・ヴィンチの星)は凸多面体ではない.

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