■楕円面上の測地線

 あらゆる滑らかで凸な閉曲面には単純閉測地線が3本ある.これはポアンカレによって予想され,1930年にリュステルニクとシュニレルマンによって証明された.楕円面の場合,3枚の対称面と楕円面との交わりである.

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 測地線とは局所的に2点間の距離を最小にする経路である.可展面上の測地線は展開後は直線になる.球面上の測地線は大円である.

 楕円面の場合,2次曲面の共焦点族が定義されるが,

[定理]楕円面上の測地線の接線は,楕円面と共焦点な別の2次曲面に接する(シャール・ヤコビの定理)

により非常に規則的である.

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【1】焦点を共有する2次曲線

[1]任意の2点を与えると,これを焦点とする無数の楕円および双曲線が描ける.このとき,任意の楕円と双曲線は直交する.

  x^2/(a^2+λ)+y^2/(b^2±λ)=1

[2]任意の1点とそれを通る直線を与えると,これを焦点対称軸とする無数の放物線が描ける.このとき,向きが異なる任意の放物線は直交する.

 焦点を(e,0)とし,x軸に垂直な準線をもつ放物線族の方程式は

  y^2=(e+λ)(x+λ)

となる.

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【2】楕円ビリヤード定理

 楕円内部のビリヤードの軌跡は,ある共焦点族に属する円錐曲線に接し続ける.

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【3】焦点を共有する2次曲面

[1]楕円面と一葉双曲線と二葉双曲面は直交曲面をなす.

  x^2/(a^2+λ)+y^2/(b^2+λ)+z^2/(c^2+λ)=1

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【4】シャールの定理

 3次元ビリヤードにおいても,楕円ビリヤード定理に相当する定理が成り立ち,ビリヤードの軌跡は2つの異なる2次曲面に接することになる.

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