■可能なタイル貼り・不可能なタイル貼り(その10)

[定理]大長方形Rが,どちらかの辺の長さが整数の小長方形によってタイル貼りされているならば,大長方形Rは長さが整数の辺がある.

 たとえ,小長方形が整数辺をひとつ(あるいは2つ)もつとしても,なぜ大正方形が整数辺をひとつもたなければならないのか? 不思議な定理である.

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(証明)

 まず,もっとも単純な場合を調べてみよう.大長方形が縦線によって2分割されているものとする.左の小長方形が縦の整数辺をもつならば,大長方形も整数辺をもつから,左の小長方形は横の整数辺をもつと仮定することができる.同じ論法によって,右の小長方形は横の整数辺をもつから,大長方形も横の整数辺をもつことが証明される.

 逆から考えてみると,たとえば大長方形が縦の整数辺をもつ場合,整数辺をもつ小長方形の鎖ができて,大長方形の左辺から右辺まで繋がらなければならない.

 そのような鎖をみつけるために,横の整数辺をもつ小長方形を青,縦の整数辺をもつ小長方形を赤で塗り分ける.以下は背理法による.

 もし大長方形の2つの縦辺が青い小長方形によって連結されていないとする.それは赤い小長方形が青い小長方形をふさいでいるからである.しかし,その場合,赤い小長方形の壁は2つの横辺と繋がっていることになる.

 したがって,青い小長方形の壁が縦辺同士を連結するか,赤い小長方形の壁が横辺同士を連結するかのどちらかになるのである.

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