■微視的から巨視的へ(その3)

 ニュートンの仕事は,物理現象の知識を数学を用いて獲得することに成功した例であり,ニュートンの法則を使えばケプラーの法則を導くことができます.逆に,数学が物理現象を探し求める助けとなった顕著な例として,海王星の存在を純粋に理論的に予言した事実をあげることができます.

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【1】摂動法

 1820年頃,天王星の運動に不可解な偏差が観察されました.ニュートンの万有引力の理論から,天王星の運動の乱れ(摂動)は未知の惑星の引力によるものと予想されていましたが,一種の逆問題によって未知の惑星の質量と軌道が導かれました.

 惑星の摂動を解析するための近似解法として開発されたのが摂動法です.なお,天王星のずれから,未知の惑星の位置を予測したのはフランスのルヴェリエとイギリスのアダムスです.その惑星は海王星と名付けられたが,海王星は当時の望遠鏡でやっと見えるほどであり,位置の予測がなければ発見することはできなかったと思われます.

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【補】天体望遠鏡

 ガリレオは20倍の天体望遠鏡を作成し,1610年に木星の4個の衛星と土星の輪を発見しています.天王星,海王星,冥王星は望遠鏡の発達に伴って,それぞれ1781年,1846年,1930年に発見されています.

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