■リッチ流と幾何化予想(その4)

【1】サーストン

 1977年,若きアメリカ人数学者サーストンは双曲化定理を発表し,数学界を震撼させました.当時知られていたのはすべての2次元曲面はそれを展開すると,球面,ユークリッド平面,双曲平面になるというもので,3次元では2次元と同じことが成り立つとは誰も考えていませんでした.

 しかし,サーストンの定理はまさにその3次元版だったというわけです.その斬新かつ革命的なアイデアに対して,サーストンはフィールズ賞を受賞しました(1982年).

 双曲化定理からはさらに進んで,3次元多様体を分解すると各部には8つの基本的な基本構造がはいり,そのなかでも断然多いのは双曲構造であるという幾何化予想(3次元ポアンカレ予想を特別な場合に含む)を提案しました.

 すべての道が1点に縮むような3次元多様体は3次元球面しかないというのがポアンカレ予想ですが,すべての3次元多様体を作って,ひとつひとつ検証するというサーストンのアプローチは神業的であったといわれています.

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【2】ペレルマン

 ポアンカレ予想の証明には100万ドルの賞金がかけられましたが,2003年,ロシアの数学者ペレルマンによりポアンカレ予想は証明されました.

 証明に用いられた手法は,トポロジーの問題ながら意外にもリッチ流という微分幾何のアイデアでした.当のペレルマンは100万ドルの賞金もフィールズ賞も辞退し,人々の前から姿を消したことは大きなニュースになりました.

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