■マルコフ数の話(その3)

 マルコフ数は2次のディオファントス方程式

  x^2+y^2+z^2=3xyz

の解として現れる.

 大いに興味をかき立ててきたディオファントス方程式であるが,ここでは数論的には等価な

  x^2+y^2+z^2=xyz

について考えてみる.

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【1】マルコフ方程式の解

 (x,y,z)=(3,3,3)のような整数解のみを問題とするが,この方程式の整数解と,次の元で生成される群の間には美しい関係が成り立つ.

  a=[1,1]  b=[1,−1]

    [1,2]    [−1,2]

解(x,y,z)=(3,3,3)はTra=Trb=Trabに対応している.

 u,vをこの群を生成する任意の行列の組とすると

  (Tru)^2+(Trv)^2+(Truv)^2=TruTrvTruv

が成り立つから,x=Tru,y=Trv,z=Truvが得られる.マルコフはマルコフ方程式のすべての整数解がこのようにして得られることを示したのである.

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[補]マルコフ予想

 (p,q,r),(p’,q’,r’)をともに整数解とし,p≦q≦r,p’≦q’≦r’と仮定する.このとき,r=r’ならば,p=p’かるq=q’である.

 この予想,すなわち,同じ値が2つの別のルートから生成されることがあり得るかはどうかは今日でも有名な未解決問題である.

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