■メビウス変換とシュタイナーの定理(その2)

【1】メビウス変換の不動点

 この変換の不動点は

  z=(az+b)/(cz+d)

 これは2次方程式

  cz^2+(d−a)z−b=0

だから,一般には2根

  z={(a−d)±√((d−a)^2+4bc)}/2c

をもつ.

 c=0のとき不動点のひとつは∞である.不動点がひとつに重なってしまうための条件は

  D=(a−d)^2+4bc=(a+d)^2−4ad+4bc=0

である.

 もし,変換

  T=[a,b]

    [c,d]

が,ad−bc=1と正規化されているとすると

  D=(a−d)^2+4bc=(a+d)^2−4=0

TrT=a+dより,

  D=(a−d)^2+4bc=(TrT)^2−4=0

  z={(a−d)±√((TrT)^2−4)}/2c

になる.

 D>0で,相異なる2根a,bをもつときは

  (w−a)/(w−b)=k(z−a)/(z−b)

という形に書ける(a,bで決まるシュタイナーの円).

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【2】トレースによるメビウス変換の分類

[1]斜航型

 TrTが−2以上2以下の実数でないとき,点の軌道は反発的固定点かららせん状にでていき,吸引的固定点に吸い込まれていく.

[2]双曲型

 TrTが−2以上2以下でない実数のとき,点の軌道はらせんでなく2つの固定点を通る円に沿って動く.

[3]楕円型

 TrTが−2より大きく2未満の実数のとき,2つの中立的固定点をもち,点の軌道は固定点の周りの円に沿って動く.

[4]放物型

 TrT=±2のとき,固定点を1つだけもち,この点が吸引的固定点であり,反発的固定点でもある.

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