■n次元の立方体と直角三角錐(その337)

 点Qの座標を求める最も簡単な方法は方程式を解くことである.それに対して,石井源久先生の学位論文

  「多次元半正多胞体のソリッドモデリングに関する研究」

では,形状ベクトルv0(ワイソフ構成と同じ0−1ベクトル)と変換行列Tを掛け合わせて,点Qの座標vを計算している.

  v=TT’v0

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 しかし,TとT’の関係がわかりにくい.たとえば,2つの3次元ベクトル

  a↑=(x1,y1,z1)

  b↑=(x2,y2,z2)

が作る平行四辺形の面積Sについて考えてみると,

  S^2=|a↑|^2|b↑|^2−(a↑・b↑)^2

    =|y1 y2|^2+|z1 z2|^2+|x1 x2|^2

     |z1 z2|  |x1 x2| |y1 y2|

これは3次元ベクトル

  (y1z2−z1y2,z1x2−z2y1,x1y2−y1x2)

の長さの形をしています.

 少し見ただけではわかりにくい表示で,憶えるのも大変そうですが,行列式を使うと

           |e1↑ e2↑ e3↑|

  c↑=a↑×b↑=|x1  y1  z1 |

           |x2  y2  z2 |

上の行から,単位ベクトル,a↑の成分,b↑の成分の順に並ぶというわかりやすい形に整理できます.

 このように幾何学的な意味付けをすれば,T’の各対角成分は基本単体の法線ベクトルの大きさを示しているという結論がでてきます.

  「多次元半正多胞体のソリッドモデリングに関する研究」

ではこのあとにも深い考察が続くのですが,点Qの座標を求めるために方程式を解くこととv=TT’v0の同等性が示されます.

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【まとめ】

  v=TT’v

は複雑な手順を必要とするため計算量は多くなるのですが,正軸体の変換先は立方体の場合と同じになるし,正単体の場合でも使える汎用性の高い方法になっています.コンピュータ向きの計算方法であるというわけです.

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