■n次元の立方体と直角三角錐(その334)
石井源久先生の学位論文
「多次元半正多胞体のソリッドモデリングに関する研究」
では,形状ベクトルv(ワイソフ構成と同じ0−1ベクトル)と変換行列Tを掛け合わせて,すべての頂点の座標を計算している.正軸体の変換先は立方体の場合と同じになるという.→(その330)
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【1】まずは復習から
ここで,Hijとは,行列Hに対して添字i,jで指定したi行・j列を取り除いて得られる小行列という意味です.n×n行列:H={hij}のi行とj列を取り除いた小行列式に符号(−1)^(i+j)をつけたものをΔijとおくと,
Δij=(−1)^(i+j)Hij
Hの逆行列H^-1は,Δji/|H|を(i,j)要素とする行列
H^-1={Δji/|H|}
で表される(ΔijでなくΔjiになっていることに注意).
また,Hの行列式|H|は,
|H|=hp1Δp1+hp2Δp2+・・・+hpnΔpn (p行についての展開)
|H|=h1qΔ1q+h2qΔ2q+・・・+hnqΔnq (q列についての展開)
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一般に,
|1 1 ・・ 1| |1 −1 ・・・ 0|
|0 1 ・・ 1| |0 1 −1・・ 0|
|0 0 ・・・1|=|0 0 1・・・ 0|=1
|0 0 ・・ 1| |0 0 ・・1 −1|
|0 0 ・・ 1| |0 0 ・・0 1|
を示してみよう.
3次の行列式であれば,行列式を展開して
|1 1 1| |1 −1 0|
|0 1 1|=1,|0 1 −1|=1
|0 0 1| |0 0 1|
であることを確認することができる.しかし,直接
|1 1 1|
|0 1 1|
|0 0 1|
を
|1 −1 0|
|0 1 −1|
|0 0 1|
に変形することは難しいだろう.
|1 1 ・・ 1| |1 0 ・・ 0|
|0 1 ・・ 1| |0 1 ・・ 0|
|0 0 ・・・1|=|0 0 ・・・0|=1
|0 0 ・・ 1| |0 0 ・・ 0|
|0 0 ・・ 1| |0 0 ・・ 1|
は証明できるし,
|1 −1 ・・・ 0| |1 0 ・・ 0|
|0 1 −1・・ 0| |0 1 ・・ 0|
|0 0 1・・・ 0|=|0 0 ・・・0|=1
|0 0 ・・1 −1| |0 0 ・・ 0|
|0 0 ・・0 1| |0 0 ・・ 1|
を示すことによって,両辺が一致することを確認してみよう.それでも立派な証明だろう.
たとえば,
|1 −1 0 0| |1 0 0 0|
|0 1 −1 0|=|0 1 0 0|=1≠0
|0 0 1 −1| |0 0 1 0|
|0 0 0 1| |0 0 0 1|
まず,第4行を第3行に加えて,さらに第3行を第2行に,第2行を第1行に加えれば,対角行列式となる.対角行列の行列式の値は対角要素の積になるから,非特異となることが証明されたことになる.
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[1,1,1]
T=[0,1,1]
[0,0,1]
の替わりに
[1,−1, 0]
T=[0, 1,−1]
[0, 0, 1]
を考える.
正規化すると
[1/√2,−1/√2, 0]
T=[0, 1/√2,−1/√2]
[ 0, 0, 1 ]
対角行列T’として,
[√2,0,0]
T’=[0,√2,0]
[0, 0,1]
の各対角成分は基本単体の法線ベクトルの大きさを示しているのであって,T’は正規化する操作をしていると考えられる.
その結果,TT’vを計算することは,たとえば,形状ベクトル[1,1,0]の場合
(x−y)/√2=(y−z)/√2,z=0
→x=2/3,y=1/3,z=0
となる計算と同等になるのである.
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