■書ききれなかった数の話(その1)

 1^2+2^2+3^2+・・・+24^2

=24(24+1)(2・24+1)/6

=70^2

 級数の公式:Σk^2 =n(n+1)(2n+1)/6をご存じの方も多いでしょうが,1からnまでの平方の和が平方数となるのはnが1か24の場合しかありません.25平方の等式ともいうべきこの等式はリュカの問題(1873年)として知られています.y^2=x(x+1)(2x+1)/6の唯一自明でない整数解は(24,70)で,それ以外の自明な解がないことは楕円関数やペル方程式を使って証明されています.

 さらに,高次元化して

Σk^s=1^s+2^s+3^s+・・・+n^s=m^s

の解について考察してみてもおもしろいかと思われます.この和の中にs乗数はあるでしょうか.

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【1】ベキ和とベルヌーイ数

 ベルヌーイ数Bn が

  Σ1/n^s=1/1^s+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・

の計算に重要な役割を果たしていることは以前にも述べましたが,ベルヌーイ数は元来,ベキ和

Σk^s=1^s+2^s+3^s+・・・+n^s

を求めるために考案されたものです.

Σk=n(n+1)/2

Σk^2 =n(n+1)(2n+1)/6

Σk^3 =n^2(n+1)^2/4

Σk^4 =n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n−1)/30

Σk^5 =n^2(n+1)^2(2n^2+2n−1)/12

Σk^6 =n(n+1)(2n+1)(3n^4+6n^3−3n+1)/42

Σk^7 =n^2(n+1)^2(3n^4+6n^3−n^2−4n+2)/24

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ですから,左辺は,sが偶数のときn(n+1)(2n+1)(多項式)/(整数),1以外の奇数のときn^2(n+1)^2(多項式)/(整数)と書くことができます.Σk^sは(s+1)次の多項式になり,最高次数の係数は1/(s+1)ですが,Σk^sはBn を含む一般式の形で表すことができます.

 具体的に係数Bn を求めてみましょう.ベルヌーイ数列{Bn}の指数型母関数はx/(exp(x)−1)で与えられます.すなわち,ベルヌーイ数は

x/(exp(x)−1)

=B0/0!+B1/1!x+B2/2!x^2+B3/3!x^3+・・・

=ΣBnx^n/n!

で定義される有理数で,係数Bn はベルヌーイ数と呼ばれます.

x/(exp(x)−1)

=x/(x+x^2/2!+x^3/3!+・・・)

=1/(1+x/2!+x^2/3!+・・・)

=1-(1+x/2!+x^2/3!+・・・)+(1+x/2!+x^2/3!+・・・)^2-・・・

=1-1/2x+1/6x^2-1/30x^4+・・・

 これより,B0=1,B1 =−1/2で

x/(exp(x)−1)−B1 /1!x=x/2・(exp(x)+1)/(exp(x)−1)

は,偶関数ですから,奇数項は第一項以外は0で,偶数項はB2=1/6,B4=−1/30,B6=1/42,B8=−1/30,B10=5/66,B12=−691/2730,B14=7/6,B16=−3617/510,B18=43867/798であとは分子が急速に大きくなり,たとえば,B32=−7709321041217/510,B34=2577687858367/6です.分母は必ず6で割り切れます.

 ベルヌーイ数については,再帰公式

  (B+1)^n−B^n=0

が成り立ちます.ただし,2項展開してからB^nをBnで置き換えることにします.

  Σk^s=1^s+2^s+3^s+・・・+(n−1)^s={(n+B)^s+1−B^s+1}/(s+1)

において,右辺は展開したあとB^mをベルヌーイ数Bmで置き換えます.

 たとえば,s=1のときは

  1^1+2^1+3^1+・・・+(n−1)^1={n^2+2B1n}/2

B1=−1/2より

  1^1+2^1+3^1+・・・+(n−1)^1=n(n−1)/2

s=2のときは

  1^2+2^2+3^2+・・・+(n−1)^2={n^3+3B1n^2+3B2n}/3

B1=−1/2,B2=1/6より

  1^2+2^2+3^2+・・・+(n−1)^2=n(n−1)(2n−1)/6

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