■n次元の立方体と直角三角錐(その327)

 3次元の正四面体系と正八面体系,4次元の正16胞体系と正24胞体系の準正多胞体に重複が存在するが,n(≧5)次元の正単体系と正軸体系の準正多胞体に重複はないと思われる.正単体の頂点数n+1とファセット数n+1の合計2(n+1)が正軸体の頂点数2nやファセット数2^nと一致しないからである.

===================================

【1】本質は何か?(理由が知りたい)

 3次元と4次元は重複が存在する特殊な次元であるが,正多胞体の元素定理の面から見ても,3次元と4次元は正多面体の元素数が減少する特殊な次元といえる.

 そこには深い幾何学的な事情があり,n(≧5)次元正多胞体の元素数は≧3であると考えられる.その理由を述べてみたい.

 n次元の直角三角錐2^n個で正2^n胞体ができる.また,この図形n!個の体積は1辺の長さ2の正2n胞体(体積:2^n)と等しくなる.正2n胞体からはこの図形を2^n-1個を取り除くことができる.

[1]元素数の減少が起こる理由

 3次元では立方体から直角三角錐を4個取り除くと正四面体,4次元では正8胞体からRPを8個取り除くと16胞体になるため,元素数がひとつ減る.さらに,4次元の特殊性として192個のRPから正24胞体が構成されるため,もうひとつ元素数は減るのである.

[2]元素数の減少が起こらない理由

 5次元以上の空間では直角三角錘2^n-1個を取り除くと正多面体にならず,1種の準正多面体になる.また,2次元では正方形から直角三角形を2個取り除くと何も残らない.これが各次元における元素定理の正体なのである.

===================================

【2】重複の正体

 3次元と4次元で重複が存在する理由は,正四面体(正16胞体)の辺の中点を結ぶと正八面体(正24胞体)ができるからである.

===================================