■3辺の長さの平方が等差数列をなす三角形

 2011年に

[Q]3辺の長さが整数でかつ等差数列をなす三角形で,その面積が整数になるようなものは?

という問題を紹介した.

 今回のコラムでは

[Q]3辺の長さx,y,zが整数でかつ長さの平方x^2,y^2,z^2が等差数列をなす三角形は?

を紹介したいと思う.

  [参]大野泰生・松井優「白熱!無差別級数学バトル」日本評論社

に掲載されている問題を改変.

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  a^2+b^2=c^2,S=ab/2,a>b

とおく.(a,b,c)はピタゴラス数で,Sはその面積というわけである.

  a=l(m^2−n^2),b=2lmn,c=l(m^2+n^2),m>n

 このとき,

  x=a−b,y=c,z=a+b

  a=(x+z)/2,b=(z−x)/2,c=y

とおくと,

  x^2+4S=y^2,y^2+4S=z^2

x^2,y^2,z^2は公差d=4Sの等差数列で,x^2+z^2=2y^2が成り立つ.

  d=4S=2ab=4l^2mn(m^2−n^2)=4l^2{n(m−1)m(m+1)−m(n−1)n(n+1)}

連続する3個の自然数の積は3!=6の倍数であるから,dは24の倍数となる.

 ただし,dはすべての24の倍数をとりうるわけではなく,

  d=24,96,120,・・・可能

  d=48,72,・・・不可能

  x=l|m^2−n^2−2mn|,y=l(m^2+n^2),z=l(m^2+n^2−2mn),t=m/n(>1)とおくことにより,

  y=(t^2+1)x/|t^2−2t−1|

  z=(t^2+2t−1)x/|t^2−2t−1|

 たとえば,t=2とおくことにより,(x,y,z)=(k,5k,7k)→NG,ほかにも(7k,13k,17k)→OK,(7k,17k,29k)→NG,(23k,37k,47k)→OKなどが求まる.

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[おまけ]

 連続する3個の自然数の積は3!=6の倍数である

 連続する4個の自然数の積は4!=24の倍数である

 連続するk個の自然数の積はk!の倍数である

[エルデシュ・セルフリッジの定理]

 連続する3個の自然数の積は平方数とはならない

 連続する4個の自然数の積は平方数,立方数とはならない

 連続するk(>1)個の自然数の積はある数のベキ乗数とはならない

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