■パスカルの三角形の概3等分(その3)

【1】パスカルの三角形の恒等式(その1)

  1   1

  1   2   1

  1   3   3   1

  1   4   6   4   1

  1   5  10  10   5   1

  1   6  15  20  15   6   1

 パスカルの三角形に斜線を引いて,斜線上に並ぶ数の交代和をとれば

  S1=1−1=0

  S2=1−3+1=−1

  S3=1−5+6−1=1

  S4=1−7+15−10+1=0

  S5=1−9+28−35+15−1=−1

  S6=1−11+45−84+70−21+1=1

で,0,−1,1が周期3で順番に現れる.

 パスカルの三角形では,

  (n,0)−(n,1)+・・・+(−1)^n(n,n)=0

のような有名な交代和恒等式が知られているが,

  Sn=(2n,0)−(2n−1,1)+・・・+(−1)^n(2n−n,n)

=0   (n=3k+1のとき)

=−1  (n=3k+2のとき)

=1   (n=3kのとき)

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【2】パスカルの三角形の恒等式(その2)

  Un=Σ(n,3r)  r=0〜[n/r]

を計算してみる.

  U1=(1,0)=1

  U2=(2,0)=1

  U3=(3,0)+(3,3)=2

  U4=(4,0)+(4,3)=5

  U5=(5,0)+(5,3)=11

  U6=(6,0)+(6,3)+(6,6)=22

 周期性は見えてこないが,1の原始3乗根

  ω=cos(2π/3)+isin(2π/3)

  (1+1)^n=(n,0)+(n,1)+(n,2)+・・・

  (1+ω)^n=(n,0)+(n,1)ω+(n,2)ω^2+・・・

  (1+ω^2)^n=(n,0)+(n,1)ω^2+(n,2)ω^4+・・・

を加えて(n,r)の係数を調べると

=0   (r=3k+1のとき)

=0   (r=3k+2のとき)

=3   (r=3kのとき)

より,

右辺の和=3((n,0)+(n,3)+(n,6)+・・・)=3Un

左辺の和=(1+1)^n+(1+ω)^n+(1+ω^2)^n=2^n+2cos(nπ/3)

 したがって,

  Un=(2^n+2cos(nπ/3))/3

が得られる.

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【3】2(2^n−1)胞体の元素の頂点数

 正単体の基本単体をn−1回切頂・切稜すると2n胞体になる.この多面体のすべての頂点を求めてみたところ,頂点数は2^n個あり,この多面体は超立方体と組み合わせ同値であることが確認された.

 胞数2n,頂点数2^nの多胞体を対称超平面で切半すると,切断面はn−1次超立方体(頂点数2^n-1)と組み合わせ同値になることが予想されるが,実際に計算してみると

n   切断面     上    下     計

3     4     2    2     8

4     6     5    5    16

5    12    10   10    32

6    22    21   21    64

7    44    42   42   128

8    86    85   85   256

9   172   170  170   512

10  342   341  341  1024

となって,頂点数2^nが概3等分されていることがわかった.

 2^nは3では割り切れないが,

  2^n=1  (mod3)

  2^n=2  (mod3)

であるから,概3等分されるのである.

n   頂点数(Vn)

3    4+2=6

4    6+5=11

5    12+10=22

6    22+21=43

7    44+42=86

8    86+85=171

9   172+170=342

10  342+341=683

 奇数次元→偶数次元:2倍して1引く

 偶数次元→奇数次元:2倍する

  Vn-1≒2(2^n+2cos(nπ/3))/3

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