■統計力学序説(その2)

 熱放射(いわゆる黒体放射)は,プランクを量子仮説に導いた原動力として歴史的意味がある.

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 熱放射のエネルギー密度εは,絶対温度Tの4乗に比例する(ステファンの法則).

  ε=σT^4,σ=8π^5k^4/15c^3h^3

 次に,振動数がνとν+dνの間にある放射だけを考えると

  ε(T)dν=8πhν^3/c^3・dν/(exp(hν/kT)−1)

これは熱放射のスペクトル分布に関するプランクの法則である.

 これを波長分布に変換すると,νλ=c,dν=−cdλ/λ^2より

  ε(T)dλ=−8πhc/λ^5・dλ/(exp(ch/λkT)−1)

となる.

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 プランクの法則

  ε(T)dν=8πhν^3/c^3・dν/(exp(hν/kT)−1)

は,低振動数すなわちhν/kT《1のとき,

  exp(hν/kT)−1≒hν/kT

より,

  ε(T)dν=8πν^2/c^3・kTdν

となって,レイリー・ジーンズの式と一致する.

 一方,低振動数すなわちhν/kT》1のとき,

  exp(hν/kT)−1≒exp(hν/kT)

より,

  ε(T)dν=8πhν^3/c^3・dν/exp(hν/kT)

となって,ウィーンの式が得られる.

 なお,最大振動数をνmとすると

  hνm/kT=2.822

となるが,これをウィーンの変位則という.物体の温度が上がるにしたがって,放射する光の色が赤から青白に移っていくという経験則に一致している.

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