■デューラーの八面体の製作(その17)

 神聖幾何学において,五角形と六角形を統合させてひとつの図形を得ることが重要課題であったという.

 デューラーは「コンパスと定規を用いた作図法」のなかで,この統合された図形を発表している.また,デューラーの謎めいた版画「メランコリアT」は五角形と六角形の組み合わせを用いることで幾何学的比喩表現に富んだものになっているという.

===================================

【1】Vesica Piscisを用いた近似的な内接正5角形の作図

[1]半径が等しく,その中心が互いの円周上にある4円が重なり合った共通部分の両端を点A(−1,0),点B(1,0)とする.ABが正5角形の1辺の長さとなる.

[2]点Aを中心とする円を第1円,点Bを中心とする円を第2円とする.

[3]第1円と第3円の交点が正六角形の頂点となる.点C(−2,−√3)とする.

[4]点Cと第3円上の点(0,2−√3)を通る直線と第2円の交点を点Dとすると,点A,B,Dが正五角形の3頂点となる.

 点C(−2,−√3),点(0,2−√3)を結ぶ直線は

  y=x+2−√3

(x−1)^2+y^2=4に代入すると

  x^2+(1−√3)x+2(1−√3)=0

  x=(√3−1+√(6√3−4)/2=1.90033

 一方,

  2cos(π/10)=√(2√5+10)/2=1.90211

と近似度は高いことがわかる.

===================================

【2】雑感

 Vesica Piscisはどうやら「魚の子宮」と訳すのが正しいらしい.Vesica Piscisを用いた正五角形の近似的作図法が知られている.コンパスと定規を用いて,正六角形と組み合わせることで,許容内の精確さの正五角形が得られるそうである.

 なお,「メランコリアT」の梯子の角度は72°傾いているという.4×4魔方陣は神聖な情報を記号化・暗号化したものであると考える研究者もいる.

===================================