■デューラーの八面体の製作(その2)

 秋山仁先生から「球に内接し,かつ,入れ子構造を持ち,8個の面がすべて合同な5角形である8面体が今まで明らかにされていなければ,美術誌または数学的文化誌に発表する価値があると思います.」というご意見を頂いたが,デューラーの八面体の記事を書いたのは2005年のことであった.

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 透明な素材で,デューラーの八面体を作りたいのであるが,クリスタルガラスでは高くつく.単価計算すると20数万円かかる.アクリル素材だとしても金型代は馬鹿にならない.しかし,せっかく金をかけて作るのであれば,球に内接し,かつ,入れ子構造を持ち,8個の面がすべて合同な5角形である8面体をを作るべきであろう.

 イメージミッション社の前畑謙次会長のお話では,デューラーはニュルンベルグ生まれ.ニュルンベルグはワーグナーのニーベルンゲンの指輪で有名な都市であるが,そこでは国際おもちゃショーが毎年開催されるとのこと.

 国際おもちゃショーの記念グッズとして,あるいは,東京理科大にオープンされる予定の数学ワンダーランドの記念グッズとしての価値は十分あるだろうと思う.

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 デューラーは1471年に生まれ,1528年に没しています.透視図法の発展を促し,有名な版画作品「メランコリアI」は彼の透視図法に対する関心の高さを示しています.メランコリー(黒胆汁質)は初めはよくない気質と考えられていたのですが,ルネサンス時代には芸術家的な気質,創造力に繋がるものとされていたようです.

 この版画には幾何学や建築に関係のあるいろいろな品物が描かれています.切頂菱面体(デューラーの八面体)はこの版画の中にある品物のひとつですが,その他に,4次の魔方陣

  [16,03,02,13]

  [05,11,10,08]

  [09,06,07,12]

  [04,15,14,01]

も描かれています.

 この魔方陣の下の行の真ん中の2つは15と14になっていて,これが製作年の1514年を表していることはよく知られています.4次の魔方陣は一意ではなく,たとえば,

  [12,13,01,08]

  [06,03,15,10]

  [07,02,14,11]

  [09,16,04,05]

なども考えられます.4次の魔方陣は有限射影平面と関係していますから,まさにメランコリーの寓意がこれらの品物に託されているというわけです.

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