■対称式と巡回式(その6)

  x=(x1,・・・,xn),y=(y1,・・・,yn)

  x1+・・・+xn=y1+・・・+yn

  x1+・・・+xk≧y1+・・・+yk,(k=1〜n−1)

が成り立つとき,x≧yと書くことにする.

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【1】分割とムーアヘッドの定理

 非負整数の非増加列,すなわち,

  λ=(λ1,λ2,・・・,λn)

  λ1≧λ2≧・・・≧λn>0

なる整数列を分割(partition)という.

 ここでは

  λ1≧λ2≧・・・≧λn≧0,n=3

の場合を扱うことになるので注意してほしい.(≧−1とすることができれば調和平均も扱えるのだが,・・・)

 分割はλ=(λ1,λ2,・・・,λn)でパラメトライズされるわけであるが,分割λに対して

  |λ|=Σλi

を分割λのサイズ,λiが零でないiの総数をl(λ)と書いて分割λの長さという.

 変数の数が3の場合,サイズ1の分割の集合は

  S1={(1,0,0)}

サイズ2の分割の集合は

  S2={(2,0,0),(1,1,0)}

サイズ3の分割の集合は

  S3={(3,0,0),(2,1,0),(1,1,1)}

である.

 分割の集合を求めるのは難しいことではなく,たとえば,変数の数が3の場合,サイズ6の分割の集合は

  S6={(6,0,0),(5,1,0),(4,2,0),(4,1,1),(3,3,0),(3,2,1),(2,2,2)}

サイズ7の分割の集合は

  S7={(7,0,0),(6,1,0),(5,2,0),(5,1,1),(4,3,0),(4,2,1),(3,3,1),(3,2,2)}

サイズ8の分割の集合は

  S8={(8,0,0),(7,1,0),(6,2,0),(6,1,1),(5,3,0),(5,2,1),(4,4,0),(4,3,1),(4,2,2),(3,3,2)}

となる.

 次に,分割の集合に自然な順序を定義したい.λ≧μとは

  |λ|=|μ|

かつすべてのiに対して

  λ1+・・・+λi≧μ1+・・・+μi

が成り立つこととする(i=1〜n).

 すると

  (2)>(1^2)

  (3)>(21)>(1^3)

  (4)>(31)>(2^2)>(21^2)>(1^4)

  (5)>(41)>(32)>(31^2)>(2^21)>(21^3)>(1^5)

  (6)>(51)>(42)>(41^2)>(321)>(31^3)>(2^21^2)>(21^4)>(1^6)

   >(3^2)> >(2^3)>

となって|λ|≦5の場合には全順序(辞書式順序)であるが,|λ|≧6の場合は半順序となることが理解される.(λ1≧λ2≧・・・≧λn≧0として,(λ1,λ2,・・・,λn)のことを(λ1λ2・・・λn),(1111)のことを(1^4)と表している.)

 3変数の場合に限ると,

  (2)>(1^2)

  (3)>(21)>(1^3)

  (4)>(31)>(2^2)>(21^2)

  (5)>(41)>(32)>(31^2)>(2^21)

  (6)>(51)>(42)>(41^2)>(321)>(2^3)

   >(3^2)>

となって,指標(4,1,1)と(3,3,0)の間には大小関係がないということになる.

 3変数6次多項式

  a^4bc+abc^4+ab^4c

  a^3b^3+a^3c^3+b^3c^3

については大小関係が成立しないものが存在するのである.

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【2】カラマタの不等式

  a1≧a2≧・・・≧an,b1≧b2≧・・・≧bn

  a=(a1,・・・,an),b=(b1,・・・,bn)

  a1+・・・+an=b1+・・・+bn

  a1+・・・+ak≧b1+・・・+bk,(k=1〜n−1)

すなわち,a≧bと仮定すると

  f(a1)+・・・+f(an)≧f(b1)+・・・+f(bn)

が成り立つ.

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