■詐欺ジョンソン・ザルガラー多面体?

 1966年,ザルガラーは正多角面体(すべての面が正多角形である凸多面体)は正多面体,準正多面体を除くと92種類存在することをコンピュータを使うことによってその証明を与えた.ザルガラーの証明では凹面や曲面を排除するのがいかに大変だったかが容易に推測されるところである.

 これまで,中川宏さんはいくつかのトリック・ジョンソン多面体(93番目のジョンソン・ザルガラー多面体?)を考案した.2010年考案のトリックジョンソン多面体は辺の長さを1としたときに辺長のばらつきがわずか10万分の1程度しかないことが明らかになった.その中川さんから突然,驚くべきメールを頂いた.

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 このたび「回路とシステムワークショップ」での講演の準備のため,私もポリドロンを購入して遊んでおりました.それまでは紙をセロテープで貼っていたのですが,ポリドロンはとても使いやすくいろいろ試しているうちに疑問の余地のない(少ない?)ジョンソン93番をとうとう見つけました.

 板でも作ってみましたが,問題は感じられませんでした.気持ちいいくらいすっぽりおさまりました.

 結果的には以前から目をつけていたデルタスクエアジョンソン立体のうち,正方形を4枚使うタイプで正三角形をより多く使用するものとなりました.展開図を示しますので,佐藤先生もポリドロンでご確認下さい.

 数学で検証していただかなくてはならない点は2点です.

[1]底の部分の三角形2枚の二面角.ポリドロンの実測では177°くらいです.しかし平面ではないことはこの2枚を外して動かしてみるとおわかりいただけます.

[2]側面の正方形(青色)のねじれがないかどうか.これも外して動かしてみると無理がないことを確認できます.しかし,この点は数学的に明快にしていただきたいです.

 ジョンソン立体の多くは既知のものを切ったり貼ったりしたものなので証明の必要はありませんが,たとえばJ92などは人間の創造力による作品なので,正五角形のねじれが無いかどうかは検証が必要なはずです.それと同様です.

 既に先生はジョンソン立体の座標を計算する技術を獲得されましたか? 20世紀の幾何学は計算機による証明が花盛りでしたが,21世紀の幾何学は人間の創造力が見直されるでしょう.   (中川宏)

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