■畳の敷き方数(その5)

 畳の敷き方数を数えあげるるにはある行列式(カステレイン行列)の固有値を計算する必要があるという.

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【1】長方形を畳で敷きつめる

 1961年,物理学者のカステレイン,フィッシャー,テンパレイは縦横2辺の長さが任意の偶数(2m×2n)の長方形の畳の敷き方数は

  K(n,m)=Π(j=1~n)Π(k=1~m){4cos^2(jπ/(2n+1))+4cos^2(kπ/(2m+1))}

であることを見いだした.これはフィボナッチ数列の三角関数表現の拡張である.

 この不思議な公式には興味深い性質が隠されていて,たとえば,正方形(m=n)の場合には,つねに奇数の2乗を2^n倍したものになる.

  K(0,0)=1=2^0

  K(1,1)=2=2^1

  K(2,2)=36=2^23^2

  K(3,3)=6728=2^329^2

  K(4,4)=12988816=2^4901^2

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【2】カステレイン行列

 カステレインは今日「カステレイン行列」と呼ばれる行列を導入して,ダイマー模型の分配関数が線形代数適法法で扱えることを示し,正方格子上のダイマー模型に対してその計算を実行した.

 2×n格子に対するカステレイン行列は,3重対角n×n行列

  K=[a,−b,0,・・・・・・・・,0]

    [b,a,−b,0,・・・・・・,0]

    [0,b,a,−b,0,0,・・,0]

    [0,0,b,a,−b,0,・・,0]

    [・・・・・・・・・・・・・・・・・]

    [0,0,・・・・・・,b,a,−b]

    [0,0,・・・・・・,0,b, a]

になる.

 そして,Kの固有ベクトルを直接構成してKを対角化し,その固有値の積として行列式を表すのであって,2n×2mの正方格子の場合,

  K(n,m)=Π(j=1~n)Π(k=1~m){4cos^2(jπ/(2n+1))+4cos^2(kπ/(2m+1))}

となる.

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