■4次元正多胞体の包含関係(その6)

 「n次元超立方体の頂点をうまく結んでn正単体を作ることはできるか」という問題では,全体を1次元あげて,n+1正軸体のn次元胞をとるのが最も簡単である.

 7次元,8次元の複合多面体は(おそらく)8次元のアダマール行列(±1を成分とする直交行列)と関係がある(構成にそれを補助に使う).未解決問題は「任意の4の倍数に対して,その大きさのアダマール行列が存在するか」です.それ自体は未解決ですが,この場面はおそらくそのような一般次数のものまで必要なく,既に存在が既知の8次(もしかするともう少し先の12,16など)のアダマール行列を活用するのだと思われる.

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【1】対角線の長さ

[1]正n+1胞体

 外接球の半径を√nに調整すると,

  L1=√(2(1+n)),N1=n

[2]正2n胞体

 外接球の半径√nの正2n胞体を考える.

  L1=2,N1=n

  L2=2√2,N2=n(n−1)/2

  L3=2√3,N3=n(n−1)(n−2)/6

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  Ln=2√n,Nn=1

[3]正2^n胞体

 外接球の半径を√nに調整すると,

  L1=√(2n),N1=2(n−1)

  L2=2√n,N2=1

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【2】立方格子の場合

 正単体については正方格子の頂点をうまくとってn次元の正単体がうまくできるか?というもう少し一般化された問題は,次元数nに依存し,n=2では不可能,n=3では可能です.これは体積に含まれる定数√(n+1)が鍵を握るようなので,どうやら√(n+1)が整数(すなわちn=k^2−1)のときだけのようです.

 1辺の長さ1のn次元超立方体の頂点間の距離は1,√2,√3,・・・,√nのいずれかであり,1辺の長さaのn次元正単体の体積は(n+1)^1/2a^n/2^n/2n!ですから,格子点を結んでできる単体が正単体になりうる必要条件は(n+1)^1/2が√2,√3,・・・,√nで有理的に表される必要があります.

 これは特定のnについては可能(例えばn=3なら(n+1)^1/2=2で実際可能)ですが,n=2のとき正方格子の頂点を結んで正三角形ができない(√3が無理数のため)の証明と相通じます.n=4では(n+1)^1/2=√5が邪魔して,同様に不可能と思います.もちろんこれは可能なための必要条件のひとつにすぎず,可能な場合があるかもしれません(例えばn=8について).

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【3】超立方体の場合

 正方格子点でなくひとつの超立方体の頂点をうまくとって正単体を作ることは,たぶんn=3以外には不可能と思われた.ただその証明は単に奇数次元,偶数次元というだけでなく,もう少し細かい吟味(n=8といった特別のnの値について)が欠かせないように感じられる.

 ところが,

  Coxter, Regular Polytope (改訂版, Dover, 1973),p287

の記述

  γ7[16α7]β7

は,7次元の正単体α7が超立方体γ7の頂点に内接する(さらに正軸体β7の胞心に内接する)という意味と思われる.8次元のアダマール行列を補助に使ってそれを構成してみたいのであるが,

  γ8[16β8],[16γ8]β8

と併せて次回の宿題としたい.

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