■4次元正多面体の怪(その9)

【1】正軸体の場合

 8次元空間の超立方体の頂点2^8=256個から16個を選んで正軸体の頂点にすることは可能で,その具体例を示します.便宜上+1,−1はわかりにくいので1,0で表し,中心を(1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2)としました.

 下記の8組の点の対がこの中心について対称であり,中心からそれに向かう直線が互いに直交することが確かめられます.そして相対する点対以外の2点の距離はつねに√4=2です.

  (11111111)−(00000000)

  (11101000)−(00010111)

  (10110100)−(01001011)

  (10011010)−(01100101)

  (10001101)−(01110010)

  (11000110)−(00111001)

  (10100011)−(01011100)

  (11010001)−(00101110)

[補]8次のアダマール行列

     [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]

     [1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]

     [1, 1,−1,−1, 1, 1,−1,−1]

  H8 =[1,−1,−1, 1, 1,−1,−1, 1]

     [1, 1, 1, 1,−1,−1,−1,−1]

     [1,−1, 1,−1,−1, 1,−1, 1]

     [1, 1,−1,−1,−1,−1, 1, 1]

     [1,−1,−1, 1,−1, 1, 1,−1]

より,

  ±(1,1,1,1,1,1,1,1),

  ±(1,−1,1,−1,1,−1,1,−1),

  ±(1,1,−1,−1,1,1,−1,−1),

  ±(1,−1,−1,1,1,−1,−1,1),

  ±(1,1,1,1,−1,−1,−1,−1),

  ±(1,−1,1,−1,−1,1,−1,1),

  ±(1,1,−1,−1,−1,−1,1,1),

  ±(1,−1,−1,1,−1,1,1,−1)

は8次元超立方体に内接する正軸体の16頂点になる(辺の長さ√16=4).

 その際,3つおきの頂点を結ぶことになるが,直角三角錐を残すように取り除くと正軸体ができるというわけである.

 8次元の正軸体の作り方はいろいろ可能である.ただしそれらは「見掛け上」の差であり,互いに座標変換で移り得るはずである.

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【2】正単体の場合

 正単体については正方格子の頂点をうまくとってn次元の正単体がうまくできるか?というもう少し一般化された問題は,次元数nに依存し,n=2では不可能,n=3では可能です.これは体積に含まれる定数√(n+1)が鍵を握るようなので,どうやら√(n+1)が整数(すなわちn=k^2−1)のときだけのようです.

 n=8について,次の9個の格子点は2√2=√8の等距離にあって正単体をなします.

  (11111111)

  (20000000)

  (02000000)

  (00200000)

  (00020000)

  (00002000)

  (00000200)

  (00000020)

  (00000002)

 多分n=15(=4^2−1)のときも同様の点をとることができると思います.

 正方格子点でなくひとつの超立方体の頂点をうまくとって正単体を作ることは,たぶんn=3以外には不可能と思われる.ただその証明は単に奇数次元,偶数次元というだけでなく,もう少し細かい吟味(n=8といった特別のnの値について)が欠かせないように感じられる.

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