■ポアンソの星の距離構造(その2)

 単位円に内接する正n角形(P1,・・・,Pn)があるとき,単位円上の動点Qに対しても,

  Σ(1,n)|QPj|^2m=(2m,m)n   (n>m)

となる.

 今回のコラムでは奇数乗和の一般式を導出してみることにする.単位円上の動点に対して,n>mのとき偶数乗和は一定となるが,奇数乗和は,定数にならない.

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【1】指数を大きくすると(奇数次)

  Σ(1,n)|P1Pj|=2cot(π/2n)

  Σ(1,n)|P1Pj|^3=6cot(π/2n)−2cot(3π/2n)

  Σ(1,n)|P1Pj|^5=20cot(π/2n)−10cot(3π/2n)+2cot(5π/2n)

  Σ(1,n)|P1Pj|^7=70cot(π/2n)−42cot(3π/2n)+14cot(5π/2n)−2cot(7π/2n)

 2,6,20,70は中央二項係数(2m,m)であり,偶数乗和

  Σ(1,n)|P1Pj|^2m=(2m,m)n

との類似がみられる.また,奇数乗和ではn>mといった必要条件も不要である.

 また,不等式

  Σ(1,n)|P1Pj|^2m-1<Σ(1,n)|P1Pj|^2m=(2m,m)n

が成り立つ.

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【2】セームールの定理

 単位円に内接する正n角形(P1,・・・,Pn)があるとき,単位円上の動点Qに対しても,

  Σ(1,n)|QPj|^2m=(2m,m)n   (n>m)

となる.

 このことを拡張すると,

[1]三角形QPjPj+1の面積をSjとすると

  Σ(1,m)Sj^2=一定

である.

[2]P(x,y)を次数n未満の多項式とするとき,単位円上の平均と内接正n角形の頂点での平均は等しい.

[3]P(x,y,z)を次数n未満の多項式とするとき,単位球上の平均と内接正多面体(頂点数n)の頂点での平均は等しい.

 以下ではこのことを補足しておきたい.x=cosθ,y=sinθであるから,

  P(x,y)=P(θ)

したがって,単位円上の平均は

  ∫(0,2π)P(θ)dθ/2π

となる.

 一方,内接正n角形の頂点での平均とは,

  x=cos(2π/n・j),y=sin(2π/n・j),θ=2π/n・j

より

  Σ(0,n-1)P(θ)/n

 単位円に内接する正n角形(P1,・・・,Pn)があるとき,単位円上の動点Qに対して,4乗和

  P(x,y)=P(θ)=Σ(1,n)|QPj|^4

として定義する.

  Σ(1,n)|QPj|^4=6n

であるから,内接正n角形の頂点での平均は

  Σ(0,n-1)P(θ)/n=6

 したがって,単位円上の平均は

  ∫(0,2π)P(θ)dθ/2π=6

で,単位円上での積分は

  ∫(0,2π)P(θ)dθ=6・2π

である.

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 ここでは,

  P(x,y)=P(θ)=Σ(1,n)|QPj|^4

として定義したが,次数n未満の多項式,たとえば

  P(x,y)=x^2+xy^2  (次数3)

の場合も正n角形の頂点上での平均と単位円上の平均が一致するのである.

 また,P(x,y,z)を次数n未満の多項式とするとき,単位球上の平均と内接正多面体(頂点数n)の頂点での平均は等しい・・・は,P(x,y,z)の次数が2の場合は正多面体に限らず,重心が(0,0,0)であれば成り立つ.たとえば,正多面体でない準正多面体として3次元の立方八面体や12面・20面体など,この性質をもつ多面体は多数あることが知られている.

 次数が3のとき正多面体はこの性質をもつが,一般のnについてもこの性質をもつ有限集合が存在することが,イギリスの数学者セームールによって証明されている.

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【3】良い配置(積分が平均値で置き換えられるか?)

 「良い配置」とは任意の次元の半径1の球面上の有限個の点集合Kで,f(x)が2次式以下の多項式のとき,積分がKの点上の値の平均値に等しい

  ∫(S)f(x)dσ=Σf(P)/#(K)

  dσは∫(S)dσ=1と標準化した面積分

が成立する集合です.

 f(x)として,特定の頂点からの距離の2乗−定数(全体の積分が0になるように定数を選ぶ)とした場合,それを各頂点について加えた形が

  SS=n^2

に相当します.

 正多面体の頂点の集合が「よい配置」であることはかなり以前より知られていますが,正多面体でない準正多面体でも3次元の立方八面体や12面・20面体など,この性質をもつ多面体は多数あります.

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