■和算と算額(その31)

 三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点D,E,Fとし,AD,BE,CFの2本ずつの交点が作る三角形PQRを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにする.

[Q1]縮小三角形がもとの三角形と相似になることがあるか? あるとすればどのような場合か?

 一松信先生はこの問題を「重心座標」を使って計算された.

[1]主要な点の重心座標はD(0,λ,1),E(1,0,λ),F(λ,1,0)

直線AD,BE,CFの方程式はそれぞれy/λ=z,z/λ=x,x/λ=y.これらの交点としてP(λ,1,λ^2),Q(λ^2,λ,1),R(1,λ^2,λ)   (いずれも重心座標の比のみ)

 ΔPQRの面積/ΔABCの面積=[λ,1,λ^2]/(λ^2+λ+1)^3

                 [λ^2,λ,1]

                 [1,λ^2,λ]

=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)

   λ=2なら1/7,λ=3なら4/13

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[2]ΔPQRの辺の長さは重心座標の長さの公式から次のようになる.

  PQ^2=1/(λ^2+λ+1)^2×[λ−λ^2,1−λ,λ^2−1]のノルム

 =(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[−λ,1,λ+1]のノルム

 =(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[a^2(λ+1)+b^2λ(λ+1)−c^2λ]

 同様に

QR^2=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[−a^2λ+b^2(λ+1)+c^2λ(λ+1)]

RP^2=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[a^2λ(λ+1)−b^2λ+c^2(λ+1)]

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[3]ΔPQRがΔABCと相似とすると,面積の関係から長さの相似比は   (λ−1)/√(λ^2+λ+1)

である.したがって,PQ^2,QR^2,RP^2は

  a^2,b^2,c^2/(λ^2+λ+1)

のいずれかに等しくなる.すなわち,共通因子を除いて,分子の[・・・]の内の量が

  (a^2,b^2,c^2)(λ^2+λ+1)

のいずれかに等しくなる.

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[4]その形で方程式を作るが,同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると

  a^2(λ+1)+b^2λ(λ+1)−c^2λ=a^2(λ^2+λ+1)

  −a^2λ+b^2(λ+1)+c^2λ(λ+1)=b^2(λ^2+λ+1)

  a^2λ(λ+1)−b^2λ+c^2(λ+1)=c^2(λ^2+λ+1)

→−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0

  (λ+1)a^2−b^2−λc^2=0

 −λa^2+(λ+1)b^2−c^2=0

3式を加えると,両辺とも同じ(a^2+b^2+c^2)(λ^2+λ+1)になるので,この3式は独立ではなく,a=b=cを得る.

 右辺を巡回置換してもいずれも同様に計算してa=b=cに達する.すなわち自明な正三角形の場合以外にはあり得ない.

 裏返しに相似なとき,上述のPQ^2,QR^2,RP^2の式はそのままにして,第2式,第3式の右辺のb^2,c^2を入れ換える.

第1式→−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0

第2式は右辺がc^2(λ^2+λ+1)であるから,整理すると

  a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0

となるが,これは第1式と同値である.

第3式は右辺がb^2(λ^2+λ+1)であるから,整理すると

  −a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0

となって,これも第1式と同値である.

 すなわち,この場合には相似条件式が同一の条件

  a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0

になる.もちろんa=b=cはこれを満足するが,それ以外にも多数の解がある.そしてそれが必要十分条件であり,実際に縮小三角形がもとの三角形と裏返しに相似になる.

例:λ=2のとき,a=1,b=2,c=√3(正三角形の半分)

同様にa,b,cを巡回置換すれば

  −(λ+1)a^2+b^2+λc^2=0

  λa^2−(λ+1)b^2+λc^2=0

という場合が生ずるが,これは単にa,b,cの順序を変えた(三角形を回した)ものにすぎない.

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[Q2]三角形ABCの各辺を1:λの比に順次分けた点D,E,Fが作る三角形DEFがもとの三角形と相似になることがあるか? あるとすればどのような場合か?

 小生も一松先生の計算を参考にしながら計算を試みたのであるが,どうしてもうまくいかない.

[1]主要な点の重心座標はD(0,λ,1),E(1,0,λ),F(λ,1,0)

 ΔDEF/ΔABCの面積=[0,λ,1]/(λ+1)^3

              [1,0,λ]

              [λ,1,0]

=(λ^3+1)/(λ+1)^3=(λ^2−λ+1)/(λ+1)^2

[2]ΔDEFの辺の長さは重心座標の長さの公式から次のようになる.

  DE^2=(λ^2−λ+1)/(λ+1)^2×[−1,λ,1−λ]のノルム

 =(λ^2−λ+1)/(λ+1)^2×[a^2λ(1−λ)+b^2(1−λ)−c^2λ]

 同様に

EF^2=(λ^2−λ+1)/(λ+1)^2×[−a^2λ+b^2λ(1−λ)+c^2(1−λ)

FD^2=(λ^2−λ+1)/(λ+1)^2×[a^2(1−λ)−b^2λ+c^2λ(1−λ)]

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[3]ΔDEFがΔABCと相似とすると,面積の関係から長さの相似比は

   (λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)

である.したがって,DE^2,EF^2,DFE^2は

  a^2,b^2,c^2/(λ+1)^2

のいずれかに等しくなる.すなわち,共通因子を除いて,分子の[・・・]の内の量が

  (a^2,b^2,c^2)(λ+1)^2

のいずれかに等しくなる.

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[4]その形で方程式を作るが,同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると

  a^2λ(1−λ)+b^2(1−λ)−c^2λ=b^2(λ+1)^2

  −a^2λ+b^2λ(1−λ)+c^2(1−λ)=c^2(λ+1)^2

  a^2(1−λ)−b^2λ+c^2λ(1−λ)=a^2(λ+1)^2

 3式を加えると,

  左辺(a^2+b^2+c^2)(1−λ−λ^2)

  右辺(a^2+b^2+c^2)(λ+1)^2

と同じにならないので,a=b=cを得ることができない.ここで挫折.どこが違っているのだろうか?

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