■和算と算額(その20)

 一般に与えられた三角形の各辺を同じ倍率kで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=3k^2−3k+1=3(k−1/2)^2+1/4

倍になる.

  k=1/3 → M=1/3  (3等分)

  k=1/2 → M=1/4  (4等分)

  k=2/3 → M=1/3  (3等分)

  k=1   → M=1

  k=2   → M=7    (7等分)

となる.

 0<k<1のときはもとの三角形より小さくなり,k=1/2のとき最小値1/4をとる.k>1のときはもとの三角形より大きくなり,k=2のときには7倍になる.

 同じく,四角形の各辺を同じ倍率kで伸縮した位置に点をとって作った四角形の面積は,もとの四角形の面積の

  M=2k^2−2k+1=2(k−1/2)^2+1/2

倍になる.0<k<1のときはもとの四角形より小さくなり,k=1/2のとき最小値1/4をとる.k>1のときはもとの四角形より大きくなり,k=3/2のときには5/2倍になる.

 各辺を同じ倍率kで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの図形の三角形小部分の面積のk(k−1)倍になるが,もとの三角形は3重に,もとの四角形は2重に数えられているので,それぞれ,

  3k(k−1)+1

  2k(k−1)+1

になるというわけである.

 しかし,任意のn(≧5)角形では,与えられた図形に数えられない部分が生ずるので,同様の公式は存在しないことになる.

 今回のコラムでは,与えられた三角形の各辺を倍率λ,μ,νで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の小部分の

  μ(λ−1)+ν(μ−1)+λ(ν−1)+1

倍になることを利用して

[Q]与えられた△ABCの各辺を伸長した位置に点A’,B’,C’をとって作った△A’B’C’がもとの△ABCと同じ向きに相似相似になっている.

  A’B’=3寸,B’C’=6寸,A’C’=4寸,AA’+BB’+CC’=5寸のとき,CC’の長さを求めよ.

を解くことを考えてみたい.

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【1】失敗例

  a^2=b^2+c^2−2abcosA

  b^2=c^2+a^2−2cacosB

  c^2=a^2+b^2−2abcosC

 相似比をkとすると

  (kb)^2={(λ−1)a}^2+(μb)^2+2(λ−1)μabcosC

  (kc)^2=|(μ−1)b}^2+(νc)^2+2(μ−1)νbccosA

  (ka)^2={(ν−1)c}^2+(λa)^2+2(ν−1)λcacosB

 cosA,cosB,cosCを消去すると

  (kb)^2={(λ−1)a}^2+(μb)^2+(λ−1)μ(a^2+b^2−c^2)

  (kc)^2=|(μ−1)b}^2+(νc)^2+(μ−1)ν(b^2+c^2−a^2)

  (ka)^2={(ν−1)c}^2+(λa)^2+(ν−1)λ(c^2+a^2−b^2)

  k^2(a^2+b^2+c^2)=a^2{(λ−1)^2+λ^2+(λ−1)μ+(ν−1)λ−(μ−1)ν}+b^2{(μ−1)^2+μ^2+(λ−1)μ+(μ−1)ν−(ν−1)λ}+c^2{(ν−1)^2+ν^2+(μ−1)ν+(ν−1)λ−(λ−1)μ}

 これより,

  k^2(a^2+b^2+c^2)=a^2{(λ−1)^2+λ^2−2(μ−1)ν+k^2−1}+b^2{(μ−1)^2+μ^2−2(ν−1)λ+k^2−1}+c^2{(ν−1)^2+ν^2−2(λ−1)μ+k^2−1}

  a^2{λ^2−λ−(μ−1)ν}+b^2{μ^2−μ−(ν−1)λ}+c^2{ν^2−ν−(λ−1)μ}=0

 また,与えられた三角形の各辺を倍率λ,μ,νで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  μ(λ−1)+ν(μ−1)+λ(ν−1)+1

倍になるから,

  k^2=μ(λ−1)+ν(μ−1)+λ(ν−1)+1

  ka=6,kb=4,kc=3,(λ−1)a+(μ−1)b+(ν−1)c=5を代入してもこれ以上の一般化は難しい.何か条件が不足しているのだろう.

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