■ベルヌーイのレムニスケート(その10)

 レムニスケートといえば,一般にベルヌーイのレムニスケートを指す場合が多いが,もともと8の字曲線を表す用語である.

 2つのピン止めされた固定関節は半径Rが同じ2つの異なる円の中心(a,0),(−a,0)であり,また,2つの自由関節はそれぞれの円の円周上を自由に動く.2つのピン止めされた固定関節間距離は2aで中央のバーの長さと同じにとる.その際,平行四辺形型に配置すると,辺の中点は円軌道を描くことになる.

 そこで,交叉平行四辺形型にリンクを組み換えると,8の字型曲線に沿って描くようになる.すなわち,円も8の字型曲線も機構学的には同じものと考えることができるのである.

 ベルヌーイのレムニスケートではR=a√2とすればよいだけであるが,レムニスケートには円に共通する性質があり,定規とコンパスだけで奇数のn等分することができる必要十分条件はnがフェルマー素数(p=2^2^m+1の形の素数:3,5,17,257,65537)であることである.その本質的な理由は案外こんなところにあるのかもしれない.

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