■平行体の体積とグラミアン(その40)

 n次元置換多面体はm=n(n+1)/2組の平行なn次元ベクトル,また,その正軸体版はm=n(n−1)+n=n^2組の平行なn次元ベクトル

  V={v1,・・・,vm}

をもつ.viは辺に沿ったベクトルである.

 したがって,これらの体積は線分のミンコフスキー和

  vol(V)=Σ|det(vi1,・・・,vin)|

で与えられる.すなわち,(m,n)個の項をもつこの公式は,複体を平行体(parallelepiped)に分解してそのミンコフスキー和ととることを意味している.

 なお,このベクトル配置は1次従属になることもあり,その場合,ある項はゼロになるから(m,n)個以下の平行体に分解できることになる.

[1]nを空間の次元とすると,(vi,vj)=det(V)^2となるのは,n×nのときであり,それ以外では成り立たない(佐武一郎「線型代数学」)

[2]ベクトルv1,v2,・・・,vnがあるとき,det((vi,vj))=0であるための必要十分条件は,v1,v2,・・・,vnが一次独立でないということである.

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【1】置換多面体の場合

 稜の長さが√2の正単体の高さHnは,

  Hn=√(1+1/n)

で与えられる.すなわち,辺の長さを1に規格化すると,高さは

  Hn=√(1+1/n)/√2

で与えられる.

 (n+1)次元の場合,新しく加わった軸上の正の側に1辺の長さが1となるように新しい頂点を取り,中心が原点にくるように全体を平行移動させると,

  Hn・n/(n+1)=√(n/2(n+1))

  −Hn・1/(n+1)=−√(1/2n(n+1))

より,具体的な座標値は

  (−1/2, −√(1/12),−√(1/24),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (+1/2, −√(1/12),−√(1/24),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (0,√(1/3),−√(1/24),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (0,0,√(3/8),−√(1/40),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  (0,0,0,√(2/5),・・・,−√(1/2n(n+1)))

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  (0,0,0,0,・・・,+√(n/2(n+1)))

となる.

 たとえば,2次元正単体の3頂点は

  (−1/2,−√(1/12))

  (+1/2,−√(1/12))

  (0,√(1/3))

3次元正単体の4頂点は

  (−1/2,−√(1/12),−√(1/24))

  (+1/2,−√(1/12),−√(1/24))

  (0,√(1/3),−√(1/24))

  (0,0,√(3/8))

 そこで,

  aj=√(1/2j(j+1))

とおくと,

  P0(−a1,−a2,−a3,−a4,・・・,−an)

  P1(+a1,−a2,−a3,−a4,・・・,−an)

  P2(0,+2a2,−a3,−a4,・・・,−an)

  P3(0,0,+3a3,−a4,・・・,−an)

  P4(0,0,0,+4a4,・・・,−an)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  Pn(0,0,0,0,・・・,+nan)

 P0が原点になるように平行移動させると,

  P0(0,0,0,0,・・・,0)

  P1(2a1,0,0,0,・・・,0)

  P2(a1,3a2,0,0,・・・,0)

  P3(a1,a2,4a3,0,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・

  Pn-1(a1,a2,a3,a4,・・・,nan-1,0)

  Pn(a1,a2,a3,a4,・・・,(n+1)an)

 n(n+1)/2組の平行なn次元ベクトルは

  P0P1=(2a1,0,0,0,・・・,0)

  P0P2=(a1,3a2,0,0,・・・,0)

  P0P3=(a1,a2,4a3,0,・・・,0)

  P0P4=(a1,a2,a3,5a4,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  P0Pn-1(a1,a2,a3,a4,・・・,nan-1,0)

  P0Pn=(a1,a2,a3,a4,・・・,(n+1)an)

  P1P2=(−a1,3a2,0,0,・・・,0)

  P1P3=(−a1,a2,4a3,0,・・・,0)

  P1P4=(−a1,a2,a3,5a4,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  P1Pn-1(−a1,a2,a3,a4,・・・,nan-1,0)

  P1Pn=(−a1,a2,a3,・・・,(n+1)an)

  P2P3=(0,−2a2,4a3,0,・・・,0)

  P2P4=(0,−2a2,a3,5a4,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・

  P2Pn-1(0,−2a2,a3,a4,・・・,nan-1,0)

  P2Pn=(0,−2a2,a3,a4,・・・,(n+1)an)

  P3P4=(0,0,−3a3,5a4,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・

  P3Pn-1(0,0,−3a3,a4,・・・,nan-1,0)

  P3Pn=(0,0,−3a3,a4,・・・,(n+1)an)

  Pn-1Pn=(0,0,0,・・・,−(n−1)an-1,(n+1)an)

であって,それぞれノルムで割って規格化する必要がある.

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【2】正軸体版の場合

 n次元立方体の頂点は

  (±1,±1,・・・,±1)

n次元正軸体の頂点の座標は

  (±1,0,・・・,0)

  (0,±1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,±0,・・・,1)

で与えられるから,n^2組の平行な規格化n次元ベクトルは

  (1,0,・・・,0)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

  (±1,−1,0,・・・,0)/√2

  (±1,0,−1,・・・,0)/√2

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  (±1,0,0,・・・,−1)/√2

  (0,±1,−1,0,・・・,0)/√2

  (0,±1,0,−1,・・・,0)/√2

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  (0,±1,0,0,・・・,−1)/√2

  (0,0,・・・,±1,−1)/√2

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【補】分割行列の逆行列についての補足

  H=[A,B]   H~ =[O,P]

    [C,D]      [Q,R]

 ここではHは対称行列ですから,C=B’.このときH~も対称行列となり,Q=P’ですから,

  D~C[A−BD~C]~=(A~B[D−CA~B]~)’

が成り立ちます.

 また,対称行列において,

  (A+BDC)~=A~−A~B(CA~B+D~)CA~

上記の

  O=[A−BD~C]~,P=−A~B[D−CA~B]~

  Q=−D~C[A−BD~C]~,R=[D−CA~B]~

  O=A~+A~B[D−CA~B]~CA~

  P=−[A−BD~C]~BD~

  Q=−[D−CA~B]~CA~

  R=D~+D~C[A−BD~C]~BD~

とも書くことができます.これらの式は次数の高い逆行列の計算を,より次数の低い行列の逆行列から求める際に有用となります.

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