■奇数ゼータの無理数性(その1)

 杉岡幹生氏から「ζ(5)の無理性が証明されたようです」という驚くべきメールを頂いた.

===================================

  佐藤様

 こんにちは.杉岡です.読者のKさんから,ζ(5)の無理性が証明されたようだと教えてもらいました.次の右上の”PDF”で論文見ることができます.

http://arxiv.org/abs/1105.0730v2

 解けるわけないとはわかっていても,私がずっと気にし続けてきた問題なだけにたいへんショックです.いえ,またこの分野で新しい進歩が始まったといえ,喜ばしいことです(笑).

 証明したのはYong-Cheol Kim氏です.Department of Mathematics Education, Korea University, Seoul 136-701, Koreaとあるので韓国人のようです.

 証明は複雑すぎてよくわかりません.無理数関連の証明はなぜか異常に複雑ですね.聞くところによると,無理数や超越数の理論というのは数学の中でも遅れている分野のようで,それで定理などの道具など少なく,どうしても証明など難しくなってしまうのでしょう.

 この論文の最後に,一般のζ(2n+1)の証明も得たなんて書いてあります.まさか,ですが.ちなみに,ζ(3)は30年ほど前にアペリーが証明し,その後,Zudilinがζ(5),ζ(7),ζ(9),ζ(11)のうちの少なくとも一つは無理数であることを示していました.ここでストップしていました.誰がζ(5)の無理性を示すかだったのですが.奇数ゼータζ(2n+1)で無理数のものが無限個あることはRivoalが示しています.   (杉岡幹生)

===================================