■初等幾何の楽しみ(その86)

【1】x^4−4x^2−5=0

  x^4−4x^2−5=(x^2+1)(x^2−5)=(x+i)(x−i)(x+√5)(x−√5)

より,方程式の解は

  α1=i,α2=−i,α3=√5,α4=−√5

である.

 α1^2+1=0,α2^2+1=0,α3^2−5=0,α4^2−5=0であるので,α1=iとα2=−iを入れ替えて計算しても全く差し支えない.また,α3=√5とα4=−√5を入れ替えて計算しても全く差し支えないが,α1とα3,α1とα4,α2とα3,α2とα4は入れ替えられない.

 すなわち,代数方程式x^4−4x^2−5=0のガロア群Gは

  G={[1234],[2134][1243],[2143]}

で,4次対称群S4の部分群で,直積S2×S2と同型である.

===================================

【2】x^4+x^3+x^2+x+1=0

 この方程式の解を

  α1=ζ,α2=ζ^2,α3=ζ^3,α4=ζ^4

とおくと,

  α1^2=α2,α1^3=α3,α1^4=α4,α1^5=1

である.

 代数方程式x^4+x^3+x^2+x+1=0のガロア群Gは

  G={[1234],[2413][3142],[4321]}

で,4次巡回群で,群Z/4Zと同型である.

===================================

【3】一般の4次方程式

 一般の4次方程式

  ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0

のガロア群を考えれば,4次対称群S4の部分群で,位数は4!=24の約数である.

 根と係数の関係

  α1+α2+α3+α4=−b/a

  α1α2+α1α3+α1α4+α2α3+α2α4+α3α4=c/a

  α1α2α3+α1α2α4+α1α3α4+α2α3α4=−d/a

  α1α2α3α4=e/a

を除いて,解の間に代数関係がないからである.

 したがって,代数方程式が特別なものであるばあるほど,そのガロア群は小さくなる(ネーターの定理).たとえば,4次対称群S4の部分群で,位数が2の部分群は位数2の元で生成されるから,

  G={[1234],[4321]}

となる.

===================================

【4】定規とコンパス

 作図とは加減乗除と平方根であるでることを別表現すると.

  拡大Ki/Ki-1は高々2次拡大である.

 これは定規とコンパスで構成できる点は,2直線の交点,直線と円の交点,2つの円の交点であって,各ステップで,2次方程式を解くことができるとき,定規とコンパスで作図可能である.

 ところで,多項式

  x^4+2x^2+1−(4x^3−4x)

  x^4+8x−(4x^3−4)

は既約ではない.それぞれ

  (x−1+√2)^2(x−1−√2)^2

  (x−1+√3)^2(x−1−√3)^2

となり,2次拡大となっていることがわかるのである.

  4y(1+my+ny^2)=α^2(1−ny^2)^2

  円:m=−1,n=0,α=1,k=0

  レムニスケート:m=0,n=−1,α=1,k=i

  中間曲線:m=−(1+k^2),n=k^2,α=(4√3−6)^1/2

       k=(√2+√6)/4,k^2=(2+√3)/4

についても同様であろう.

===================================