■n次元正多面体の辺と対角線(その68)

[Q]正n角形が半径1の円に内接している.ひとつの頂点を起点とする辺と対角線の長さの和を求めよ.

[A]n=3のときは対角線をもたないので,辺の長さ√3→和=2√3.n=4のとき,この単位円に内接するのは正方形であるから,可能な長さは辺の長さ√2と対角線の長さ2である→和=2√2+2.n=5のときは簡単ではないので省略するが,n=6のとき,辺の長さ1と対角線の長さ√3と2である→和=2・1+2√3+2=4+2√3

 特別な場合としてn=2のときは,正n角形は直径に退化する.直径の長さ2であるから,和=2となる.一般に対角線や辺の長さは無理数になる.したがって,長さの和も無理数になる.

===================================

[Q]正n角形が半径1の円に内接している.ひとつの頂点を起点とする辺と対角線の長さの3乗和を求めよ.

[A]n=3のときは対角線をもたないので,辺の長さ√3→3乗和=2(√3)^3=6√3.n=4のとき,この単位円に内接するのは正方形であるから,可能な長さは辺の長さ√2と対角線の長さ2である→3乗和=2(√2)^3+2^3=4√3+8.n=5のときは簡単ではないので省略するが,n=6のとき,辺の長さ1と対角線の長さ√3と2である→3乗和=2・1^3+2(√3)^3+2^3=6√3+10.

 特別な場合としてn=2のときは,正n角形は直径に退化する.直径の長さ2であるから,3乗和=2^3=8.長さの奇数乗和についてはこれまでのところ,何が示唆されるのか皆目見当がつかない.

===================================

[証明]

  Pk=(cos(2kπ/n),sin(2kπ/n))

  P0・Pj=cos(2jπ/n)

  1−P0・Pj=2(sin(jπ/n))^2

 すなわち,半径1の円に内接する正n角形の一頂点から他のn−1個の頂点への距離は,三角関数で表現すれば

  |P0Pk|=2sin(kπ/n)

だから,

  Σ(1,n)|P1Pj|^2m+1=2^2m+1Σ(1,n))(sin(jπ/n))^2m+1

の値を求めるということになる.

[1]m=0

  Σ(1,n))(sin(jπ/n))=cot(π/2n)

  Σ(1,n)|P1Pj|=2cot(π/2n)

[2]m=1

  Σ(1,n))(sin(jπ/n))^3=3/4cot(π/2n)−1/4cot(3π/2n)

  Σ(1,n)|P1Pj|^3=6cot(π/2n)−2cot(3π/2n)

[3]m

  Σ(1,n)|P1Pj|^2m+1=?

  (sinθ)^3=(−sin3θ+3sinθ)/4

  (sinθ)^5=(sin5θ−5sin3θ+10sinθ)/16

  (sinθ)^7=(−sin7θ+7sin5θ−21sin3θ+35sinθ)/64

より,

  Σ(1,n)|P1Pj|^5=20cot(π/2n)−10cot(3π/2n)+2cot(5π/2n)

  Σ(1,n)|P1Pj|^7=70cot(π/2n)−42cot(3π/2n)+14cot(5π/2n)−2cot(7π/2n)

 以上より

  Σ(1,n)|P1Pj|^2m-1<Σ(1,n)|P1Pj|^2m=(2m,m)n

===================================