■ベルヌーイのレムニスケート(その5)

【1】ベルヌーイのレムニスケート

 複数の棒を互いに結合してできる連接棒を「リンク装置」と呼びます.パンタグラフのようなリンク装置利用すると拡大・縮小が可能になりますが,たとえば,円錐曲線をすべて描けないかという発想も生まれてきます.2次曲線のみならず高次曲線作図器も製作されていて,たとえば,ベルヌーイのレムニスケートは単純なリンク装置を使って描くことができます.

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【2】ワットの近似直線機構

 ジェームズ・ワットのリンケージは蒸気エンジンのピストンロッドなどに実用化されています.ワットはルーローへの書簡の中で自分がこれまでの発明したメカニズムの中で最も誇りとしていると書いています.

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【3】四角い穴をあけるドリル

 一方,ルーローの三角形の工学的な応用としては,1914年,ジェームズ・ワットの子孫であるハリー・ジェームズ・ワットが四角形の穴をあけられるドリルの特許を取得.

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【4】ロータリーエンジンの仕組み

 ロータリーエンジンの形はペルセウスの円環曲線を連想させますが,実際は円環曲線ではなくペリトロコイド曲線と呼ばれるものです.

 半径の異なる2つの円があり,半径Rの円に半径r(<R)の円が内接している場合に,半径rの円を固定し,半径Rの円が半径rの円を偏心回転するとき,半径Rの円周上の点Pの軌跡をペリトロコイドといいます.

 ロータリーエンジンでは軸が3回転する間にルーローの三角形様のローターが1周します.ドイツの工学者ヴァンケルがロータリーエンジンの試運転をしたのが1957年,そして1964年には日本のマツダがロータリーエンジンの生産を開始しています.

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