■初等幾何の楽しみ(その55)

 レムニスケート周長

  ∫1/(1-x^4)^(1/2)dx

の5等分問題を扱うには,以前に行った定式化ではうまくいきそうになく,ワイエルシュトラスの標準形

  ∫(∞,0)du/(4u^2-g2u-g3)^(1/2)

の特別な場合として扱ったほうが容易かもしれません.しかし,それとで加法定理が格段と簡単になるわけではありません.

 今回のコラムでは,周長が

  ∫1/(1-x)^(1/2)dx

で表される曲線(カージオイド)のn等分問題について考えてみます.

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【1】初等関数の積分

  ∫1/(1-x)^(1/2)dx=-2(1-x^)^(1/2)+C

  ∫(0,1)1/(1-x)^(1/2)dx=2

より,n等分点は

  -2(1-x)^(1/2)+2=2/n

  x=1-(1-1/n)^2=(2n-1)/n^2=c

で与えられる.

 ここで注意しておきたいのはcは2等分点のx座標ではなく,極座標(r,θ)における動径rであるということである.カージオイドの場合,

  x^(1/2)=cos(1/2θ)

  1/2θ=arccos(r^1/2)

  θ=2arccos(r^1/2)

  x=rcosθ=rcos(2arccos(r^1/2))

  y=rsinθ=rsin(2arccos(r^1/2))

となる.

 2等分点,3等分点,5等分点に対応するカージオイド曲線上の点は以下の如くである.

          c     (x,y)

  n=2 → 0.75  → (0.375,0.6495193)

  n=3 → 0.555556  → (0.0617284,0.552115)

  n=5 → 0.36  → (-0.1008,0.3456)

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【2】カージオイドのn等分点

 (その53)ではレムニスケート,(その54)では円のn等分点を紹介したが,今回のコラムではカージオイドの等分点を掲載する.

[1]n=2(r=3/4)

[2]n=3(r=5/9)

[3]n=5(r=9/25)

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