■初等幾何の楽しみ(その26)

【1】オイラーの定理の証明

 解析幾何学を用いて,オイラーの定理

  R^2−2Rr=d^2

を示す.

  外接円:x^2+y^2=R^2

  内接円:(x−d)^2+y^2=r^2

 どの点から始めても双心n角形が得られるというポンスレーの閉包定理を用いて,点(R,0)を通る直線をy=m(x−R)とおくと,この直線は内接円と接することから,

  (x−d)^2+m^2(x−R)^2=r^2

  (1+m^2)x^2−2(d+Rm)x+d^2−r^2+m^2R^2=0

D=0より,

  m^2=r^2/((R−d)^2−r^2)

 また,この直線が外接円と交わる点のx座標はx=d−rであるから,

  x^2+m^2(x−R)^2=R^2

  (d−r)^2+m^2(d−r−R)^2=r^2

この式に

  m^2=r^2/((R−d)^2−r^2)

を代入して整理すると

  r^2=(R−r)^2−d^2

  R^2−2Rr=d^2

が得られる.

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【2】フースの定理の証明

  外接円:x^2+y^2=R^2

  内接円:(x−d)^2+y^2=r^2

 どの点から始めても双心n角形が得られるというポンスレーの閉包定理を用いて,点(R,0)を通る直線をy=m(x−R)とおくと,この直線は内接円と接することから,

  (x−d)^2+m^2(x−R)^2=r^2

  (1+m^2)x^2−2(d+Rm)x+d^2−r^2+m^2R^2=0

D=0より,

  m^2=r^2/((R−d)^2−r2)

 また,点(−R,0)を通る直線をy=m’(x+R)とおくと,この直線は内接円と接することから,

  (x−d)^2+m’^2(x+R)^2=r^2

  (1+m^2)x^2−2(d−Rm)x+d^2−r^2+m^2R^2=0

D=0より,

  m’^2=r^2/((R+d)^2−r2)

 y=m(x−R)とy=m’(x+R)は直交することから,

  m^2・m’^2=1

を整理すると

  2r^2(R^2+d^2)=(R^2−d^2)^2

が得られる.

 なお,双心四角形の2組の対辺上の内接円の接点を結ぶ線分は互いに直交するが,これも,どの点から始めても双心n角形が得られるというポンスレーの閉包定理から自然に得られる性質である.

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