■離散幾何学における2つの定理(その3)

 円周上にある無限個の点集合で,どの2点間の距離も整数であるものは存在するが,どの2点間の距離も奇数であるものという条件をつけると,状況は劇的に変化する.

[定理]平面上にある4点集合で,どの2点間の距離も奇数であるものは存在しない  (グラハムの定理,1974年)

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【1】グラハムの定理

 どの2点間の距離も奇数であるような4点集合が存在すると仮定して,背理法を用いる.奇数の2乗は(2k+1)^2=4k(k+1)+1=8n+1であるから,det(M)をmod8で表すと

|0  a^2 b^2 c^2 1| |0 1 1 1 1|

|a^2 0  d^2 e^2 1| |1 0 1 1 1|

|b^2 d^2 0  f^2 1|=|1 1 0 1 1|

|c^2 e^2 f^2 0  1| |1 1 1 0 1|

|1  1  1  1  0| |1 1 1 1 0|

 平面4点集合であるから,det(M)をmod8で計算すると0になるはずであるが,実際に計算してみると4になって矛盾.

 しかしながら,奇数の2乗

  (2k+1)^2=4k(k+1)+1=4n+1

として,det(M)をmod4で計算すると0になって矛盾を引き出すことはできないことを補足しておきたい.

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