■正方形の面積の2等分線

(Q)正方形を最短長線で2等分せよ.

(A)底辺に垂直な線で2等分すると垂線の長さは1,対角線で2等分すると長さは√2となる.一方,正方形を次々に辺について反転させて1頂点のまわりに4個集めて正方形を作る(面積4).そして,正方形の中心を中心とする円でこの面積を2等分する.円の半径をxとすると

  πx^2=2

  x=(2/π)^(1/2)=0.797885・・・

したがって,円弧の長さは

  π/2(2/π)^(1/2)=(π/2)^(1/2)=1.25331・・・

すなわち

  1<(π/2)^(1/2)<√2

となり,垂線よりこのほうが長いことがわかる.

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 高次元の立方体の断面積に関するボールの不等式を紹介しよう.1辺の長さが1の正方形(2次元単位立方体)の切り口は単に線分になるから,その長さが最大となるのは対角線であって,最大値は√2となる.対角線とは頂点とその対角にある頂点を結ぶ線分で,正方形の原点を通るものである.

 また,(3次元)単位立方体の断面は,3角形・4角形・5角形・6角形などいろいろな形をとるが,立方体の中心を通り,辺とその対蹠に位置する辺を含む平面で切ったとき,断面積は最大値√2になる.

 2次元・3次元での問題は,4次元の場合あるいは考察をもっと高次元化していくこともでき,n次元単位立方体を中心を通る超平面で切ったとき,その切り口の体積(断面積)Vは,

  1≦V≦√2

であることが,ボールによって証明されている(1986年).

 ボールの不等式のいいところは,Vが次元によらず,√2で上から評価されている点である.ボールの不等式は2,3次元でも一般次元でも同じ形で成立するが,こんなことがつい最近まで証明されなかったのは,一般次元における幾何の問題は,高い次元になると多くの反例が作れるからだと想像される.

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