■三角形の心(その2)

N:三角形の面積を3等分する心は何と呼ばれていますか? どのように作図できるだけでしょうか?

S:・・・・・(即答できなかった)

 答えが重心であることがわかるまでしばらく時間がかかったが,1年前に取り組んだ問題を思い出した.

===================================

[1]与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=(λμν−1)^2/(λμ+λ+1)(μν+μ+1)(νλ+ν+1)

倍に等しくなる.

 λ=μ=νの場合,

  M=(λ^3−1)^2/(λ^2+λ+1)^3=(λ−1)^3/(λ^3−1)

倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/7.

 λ=μ=ν=1の場合,M=0

[2]与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって点同士を結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)

倍に等しくなる.

(証)1/(λ+1)・μ/(μ+1)+1/(μ+1)・ν/(ν+1)+1/(ν+1)・λ/(λ+1)=1−(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)

 λ=μ=νの場合,

  M=(λ^3+1)/(λ+1)^3

倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/3.

 λ=μ=ν=1の場合,M=1/4.

[3]チェバの定理とメネラウスの定理

 2つの定理は一見似たような定理ですが,メネラウスの定理は「3点が1直線上にある」ことを,チェバの定理は「3直線が1点で交わる」ことを示しています.そして,・・・

『与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとる場合,3直線が1点で交わるための必要十分条件はλμν=1(チェバの定理),3点が同一直線上にあるための必要十分条件はλμν=−1(メネラウスの定理)である.』

 なお,メネラウスとチェバの生存時期も1500年以上違い,その間何もなされませんでした.不思議さを感じてしまいます.

===================================

[Q]与えられた三角形の各辺を2:1に内分する点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の1/7であることを示せ.

[A]3×3の格子を考える.もとの三角形の頂点を(1,0),(3,1),(0,3)に移す線形変換をφとする.線形変換で面積は変化するが面積比は変わらない.このとき,中の三角形は(1,1),(2,1),(1,2)に移される.ピックの公式により面積はそれぞれ7/2,1/2,従って面積比は7:1である.

===================================