■θ/πは無理数である(その3)

 θがπの有理数倍ならば,あるnθがπの整数倍になって,

  tannθ=0または∞

となる.

 さらに(その2)では,tanθが有理数でθがπの有理数倍ならば,

  tanθ=0,±1,∞

であることを示した.tanθ=m/n,(m,n)=1と仮定して背理法で証明するか,m,nがどちらも±1でないとすれば,m^2+n^2の奇素因数pをとり,modpの計算をすればよい.

 「tanθは有理数でθ≠π/4ならば,θ/πは無理数である」という事実は,正多面体元素定理「5種類ある正多面体の元素数は4である」の証明にも用いられている.

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 同様に,cosθが有理数でθがπの有理数倍ならば,

  cosθ=0,±1/2,±1

である.

 したがって,arccos(√3/2τ)の値は直角と有理比でないことがわかる(τは黄金比).

  arccos(√3/2τ)=arctan{(3+2√5/3)^1/2}

 「4次元の星形正多面体が10種に限る」ことを初めて証明したのはファン・オス(1915年)であるが,彼の証明にはarccos(√3/2τ)の値が直角と有理比でないことを自明(暗黙の前提)としている点などで不備があったといわれている.その完全な証明と構成とを最終的にまとめたのはコクセター(1931年)であった.

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