■スーパー階乗とハイパー階乗

 最初のn個の階乗の積をスーパー階乗関数

  Pn=Πk!

とする.同様に,ハイパー階乗関数を

  Qn=Πk^k=1・2^2・・・n^n

二項係数の積を

  Rn=Π(n,k)

とすると,これらの関係は

  Rn=(n!)^n+1/Pn^2=Qn/Pn=Qn^2/(n!)^n+1

===================================

【1】ゼータの平均値とランダム行列の特性多項式の平均値

 1918年,ハーディとリトツウッドは

  1/T∫(0,T)|ζ(1/2+it)|^2dt 〜 logT

すなわち,ゼータの絶対値の2乗に関し,s=1/2上の長さTの平均値がlogTであるという結果を示した.

 より高いベキ乗では平均値はどうなるのだろうか? 1926年,イングハムは

  1/T∫(0,T)|ζ(1/2+it)|^4dt〜(logT)^4/2π^2

を示した.

 また,ゼータのk乗に関して

  ζ(s)^k=(Σ1/n^s)^k=Σdk(n)/n^s

ここで,dk(n)はnをk個の自然数の積で表す表し方の総数を与えるディリクレ級数となることから,1984年,コンリーは漸近評価式

  1/T∫(0,T)|ζ(1/2+it)|^2kdt〜ck(logT)^2^k2

が成り立つだろうと予想した.

  gk=∫(0,T)|ζ(1/2+it)|^2k/∫(0,T)|Σdk(n)/n^1/2+it|   (T→∞)

と定義すると

  g1=1,g2=2,g3=42

となる.

 k≧4の予想は困難だろうと思われたのだが,キーティキングはゼータ関数の固有値が行列の固有値のようなものだとすれば,ゼータ関数の平均は特性多項式の平均値に関係があるだろうと推測し,

  gk=(k^2)!/1・2^2・・・k^k・(k+1)^k-1・・・(2k−1)

を得た.

 この式は

  g1=1,g2=2,g3=9!/1・2^2・3^3・4^2・5=42

を満たし,k=4については

  g4=16!/1・2^2・3^3・4^4・5^3・6^2・7=24024

となり,その後のコンリーの計算結果と一致した.

 もはや,ゼータ関数の平均とランダム行列の特性多項式の関係を疑う者はいない.これが端緒となり,ゼータ関数の平均とランダム行列の特性多項式の関係について,種々の結果が得られている.

  [参]小山信也「素数からゼータへ,そしてカオスへ」日本評論社

===================================

【2】係数gkの整除性

  gk=(k^2)!/1・2^2・・・k^k・(k+1)^k-1・・・(2k−1)

 この式において,

  g1=1,g2=2,g3=42,g4=24024

だが,gkが整数であることは決して自明ではなく,にわかには信じがたい.

 そこで,この続きを阪本ひろむ氏に計算してもらったところ

  g5=701149020

  g6=1671643033734960

  g7=475073684264389879228560

  g8=22081374992701950398847674830857600

以降g100まで,整数であることが確認された.もはやこの式の整除性を疑うことはできまい.

(Q)係数gkは整数であることを証明せよ.

(Q)P2n/Pn^4は整数であることを証明せよ.

===================================