■4次元正多胞体による空間充填と元素定理(その20)

 一松信先生の追加コメントを紹介したい.

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【1】正軸体の場合

 8次元の正軸体の作り方はいろいろ可能です.私の示したのは容易にできる一例にすぎません.ただしそれらは「見掛け上」の差であり,互いに座標変換で移り得るはずです.

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【2】正単体の場合

 正方格子点でなくひとつの超立方体の頂点をうまくとって正単体を作ることは,たぶんn=3以外には不可能と思います.ただその証明は単に奇数次元,偶数次元というだけでなく,もう少し細かい吟味(n=8といった特別のnの値について)が欠かせないように感じます.

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【3】雑感

 なお、超立方体/正軸体の自己同型変換群の位数2^nn!は一般に正単体の位数(n+1)!の倍数ではありませんが,そのことだけで含まれないと結論するのは早計です.実際これに近い誤りを犯した文献もある由です.

 ところで「どのようにとっても不可能」という事実の証明は予想外に難物のようで,下手すると「全数検査」に持ち込まなければならない場合もあるようです.うまい「不変量」をみつけて「エレガントな証明」をするのが数学の本質でしょうが,そのようにうまくゆくとは限らない場合もあるように思います.

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